JP モルガン投資顧問ウェビナー 2022年7月27日
2022年7月27日のウェビナーをまとめ、訳したものです。したがって私の意見ではありません。チーフ・グローバル・ストラテジストのケリー博士とグローバル・ストラテジストのガブリエラ サントスのコメント。経済成長もインフレも鈍化している。連銀の議長、パウエル氏はインフレ対策として先制対処をとっているとしながらも、過去のデータ重視。弊社の予測では、22年3期のGDP伸び率は若干のマイナス、22年4期は0.2%増を見込む。メディア等では、2期連続のマイナス成長で景気後退(リセッション)と定めるケースが多いが、National Bureau of Economic Research では以下の項目が幅広い地域で持続された下落が数ヶ月見られた時を指す。1 リアルな卸売り売上2 リアルな小売売上3 リアルな所得4 鉱工業生産5 世帯調査による雇用数6 給与調査による雇用数現在の米国の雇用数は、ベビーブーマー人口の引退や、コロナによる影響、移民受け入れの減少から異常な上昇が続いている。ただし、失業手当の申込み数は3月から増え始めており、鈍化の兆候。上記のGDP伸び率もマイナスになったり、プラスになったり、ゼロ近辺を上下する状況下リセッションとなってもマイルドなものになるか?米国の景気を押し下げる要因: ドル高。年初より10%高い。輸出に影響。不動産価格の停滞から下落も見込める。雇用の需要が高い事から賃金の高騰による企業収益の圧迫。年度末の企業収益は前年度比4%増を見込む。インフレ圧力の緩和ガソリンの値は6月14日をピークにガロン辺り、70セントほど下落。これは消費者物価指数(CPI)の5%。ちなみに天然ガスが占める割合は1%。食品価格も、航空運賃も徐々に下落方向。ホテル代も落ちはじめた。依然上昇中の賃金もリセッションの話が出始め、従業員からの賃上げ要求も心理的に下降に向かうと推測。債券市場の動向。インフレ変動型国債(10年物)と通常の固定金利10年国債の利回り差が3%から2.3%に縮小。債券市場はすでに将来2.3%の消費者物価指数(CPI)を見込んでいる。という事は連銀のターゲット、インフレ率2%に近づくこと。連銀はターゲットがあっても、短期で達成しようと考えていないであろう。2009年失業率が10%の時、完全雇用に近い4%まで下げるターゲットを示すも実際到達したのは2018年で8年以上要した。インフレターゲットにも同じ事が言えよう。2022年度末のCPIは4%を見込む。株式6割債券4割のポートフォリオにおいては、年初のトータルリターン率は長期(3〜5年)で3%弱であったが、現在では6%を見込む。債券市場の値が落ち着き、分散投資の役割が出始めた。連銀の量的緩和策終焉によるロールオーバー債券額 7,200億ドルと米国の借り入れ額8,000億ドルを足しても、2019年、2020年においては市場でこなしている。それを勘案すると現在の10年国債の利回り2.75%近辺は維持できよう。さらにリセッションがあると仮定すれば利回りが低下し、1.25%ぐらいまで下げる可能性もある。本来債券でのキャピタルゲインは見込めないが、もし上記のように下落すれば12%程のキャピタルゲインとなりえる。マイルドなリセッションであれば、デフォルトも少なくなるので、ハイイールド債(現在8%程)を考慮しても良いかも知れない。