アムトラック・カリフォルニアゼフィアー迂回ルート(2)
この列車はシカゴ・エメリービル間2,438マイルを52時間超かけて走る長距離列車でいわばアムトラックの花形ルートを走る。以前乗車した際、シカゴ・デンバー間はとうもろこし畑を走るのみで景色に面白みがなかった。それもあり、今回の迂回ルート出発点であるコロラド州デンバーから乗車することにした。デンバーは標高1,609メートル、文字通りマイルハイシティである。先月のゴールデンウイークはペルーのクスコというこれまた高地に旅し、なぜか続けて空気の薄いところに来ている。早めに着いたので駅周辺を歩いてみる。というよりも時刻表では午前7時15分着のはずのゼフィアーが8時10分着になった。更に出発も8時5分から8時30分に変更した為、余裕ができた。駅の西側を歩くとバスターミナル、路面電車の駅がある。さらに西に進むと橋を渡り、公園が見える。アスペンだろうか、落葉樹が植えてある。それを越えると澄んだ川があり、カヌーなどで楽しめるようだ。駅から向かって左にはNFL,デンバー・ブロンコズの球場インベスコフィールド〈昔はマイルハイ・スダジアムと言った〉、右には大リーグ、コロラド・ロッキーズの本拠地クアーズフィールドが見える。 さてカリフォルニア・ゼフィアーである。最後尾から寝台車2両、コーチ車2両、ラウンジカー〈展望車〉、食堂車、寝台車3両、荷物車、ディーゼルエレクトリック機関車2両の計12両編成。指定された個室寝台ルーメットに入るとすぐに車掌?のアナウンス。パイロットを替えねばならないのでもう30分程待ってほしいとの事。replaceという言葉を使ったので何か機関車の部品かと思っていたら、水先案内人のことだった。迂回ルートを走る為、エンジニア、ファイアーマン〈以前石炭をくべていた職から命名されたという助手〉だけでなくパイロットといわれるローカルルートに詳しい案内人が乗り込むらしい。おそらく信号その他各線によって違うのだろうか、先に来ていたパイロットでは走れないようだ。そんなわけでアムトラックは遅れる理由がいくらでもある。実際に発車したのは、午前9時36分、時刻表より1時間半以上遅れての出発。発車してすぐ右にクアーズフィールドが見える。選手専用の駐車場外野フェンスのすぐ後ろだ。ホームランボールで車は傷つかないのか不安である。またデンバー・ダウンタウン自体が古いレンガの建物が多い為、新しいビル郡もレンガ色で統一され、ほほえましい。これからソルトレークシティまで12時間、途中に旅客駅はないのだ。他の列車とのすれ違いによる停止はあっても、乗客の乗降はない。なんとも楽しそうな特急?列車ではないか。