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ベルギ－永住ミステリー小僧のブログ

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2023.09.08

ベルギ－事件簿　その5　当て逃げ

カテゴリ：ベルギ－事件簿

私がブログを始めて１か月くらいの４月20日ごろに、「ベルギ－事件簿」として4回ほど書いたことがありました。そのお話はこちらです。ベルギ－事件簿

今回は「その5　当て逃げ」です。
かなり久しぶりですが、ちょっと気になったことなので書くことにします。

一週間ほど前、愛犬の散歩から帰って来たある朝のこと、我が家の前の通りの反対側に住んでいるドイツ人の家の前に、警察車両が止まっているのを目にしました。
住人のドイツ人と警官の身振り手振りから、どうもドイツ人の所有するBMW車が傷つけられたみたいです。近所の多くの家と同じように、家のガレ－ジではなく路上の駐車用スぺ－スに駐車していたところ、夜中に当て逃げにあったというところでしょう。
　　　　　

当て逃げは日本でもそうですが、ベルギ－でも立派な犯罪です。
車に当てただけではどうという事にはなりませんが、誰にも言わないでその場を去ってしまえば「当て逃げ」となり、取り返しのつかないことになってしまいます。

実は私たちは以前、当て逃げの被害者になったことがありました。
ベルギ－に長く住んでいるとこんなこともあります。
私たちは被害者で被害も大したことは無かったにも拘らず、後味はひどく悪いものでした。

その日、娘はChaussée de Wavre付近の道に路上駐車して語学学校に通っていました。
授業が終わり駐車した場所に戻ってくるとワイパ－に紙が挟んであり、どこどこの警察署に出頭する旨書かれていました。
事情が呑み込めなかった娘は急いで妻に連絡し、そこに別の車で駆け付けた妻と共に指定された警察署に向かいました。

警察署内で見たものは、ひとりの若い女性が目に涙をいっぱい溜め、何度もごめんなさいと謝る姿でした。

別室で担当の警察官から聞いた話はこうです。

娘が車を駐車していた近くに住むイタリア人の住人が、ドーンという結構派手な音がするので家から飛び出したところ、１台の車が娘の車にぶつかったところだったと言います。

その車はぶつかった後、車から降りることなく逃げようとしたことから、そのイタリア人男性は近くに停車していた自分の車に飛び乗り、逃げた車を追跡し始めました

。

しかも、車を操縦しながら警察に連絡し、「今当て逃げ犯人を追跡している。現在、どこどこを走行中」、等々ライブの追跡劇だったそうです。
当て逃げ犯人は、追跡者の執拗な追跡に観念したのか、クルマを乗り捨てて逃げ去ったので、車のナンバ‐から身元が割れたという事です。

「彼女はこれからどうなるんですか」
彼女が21歳の学生であることを聞いた娘が、そう訊ねると。
「ぶつかっただけならどうということは無かったんだが、逃げたのは良くなかった。これから裁判を受けることになるだろう。彼女がしたことは犯罪だからね」

警官は言わなかったようですが、警察に通報しあれだけ派手に追跡劇をした後では、警察としても厳しい処置をせざるを得なかったのではないでしょうか。

家に戻って来た妻からそのことを聞いて、わたしも複雑な心境になりました。
普通であれば、警察に通報してくれた勇敢で正義感の強いイタリア人に感謝感激するところですが…。
実際に車の損傷部を見て更に暗い気持ちになりました。
損傷個所、と言えるのかどうか、は後ろ右側角のバンパ－で、何か色がくすんでいるだけでした。今のバンパ－って衝撃を吸収する能力が高いんですね。大きな音がしたという事でしたが、目立ってへこんでいる訳ではなく、一見しては凹んでいることさえ分からない程軽微なものに、私には見えました。

こんなことで一人の若い女性が人生を踏み外すなんて…。間違いを犯したことは事実で、しかも私たちはその被害者であるにもかかわらず、その女性のことを心底から気の毒に思いました。

あれから随分時が流れましたが、いまでもその女性のことを想うと複雑ですね。

当て逃げは絶対にしないようにしないと。もしパーキングでこすってしまった時はどうするのか。程度によりますが、私ならメモをワイパ－に挟んで被害者からの連絡を待ちます。

ごめんなさいと謝る事しかできなかった彼女の姿をイメ－ジすると、絶対に同じ立場にはなりたくないですから。

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