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ベルギ-永住ミステリー小僧のブログ

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2023.12.19
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カテゴリ:ミステリー


昨日、読了しました。
この「捜査線上の夕映え」は、犯罪学者の火村英生とミステリ作家有栖川有栖が警察の捜査に協力して、解決困難な殺人事件を解決する「火村英生シリ-ズ」の最新作です。
       


読後の率直な感想は、「いつもの火村英生シリ-ズとは一味違うな」という事でした。

先ず第一に、いつもだと事件に遭遇した作家有栖川有栖が、犯罪学者の火村英生に助けを求めるのが通常の展開なのですが、今回は初期段階で困難に直面した警察からの応援要請を受けて、火村と有栖川が「同時に」捜査に加わるというもので、参考人への事情聴取や捜査会議への参加など、全ての証拠や参考人の情報が私こと
有栖川有栖の目と耳を通して読者にも開示される。つまり火村のみが知っている知りえた情報というものは無く、火村の持っている情報イコ-ル読者の情報でもある訳です。

そして、殺伐とした殺人事件でありながら、有栖川と火村の「2人だけの捜査会議」で交わされる突拍子もない仮説の乱舞が、時には笑い転げるし、時には「ありえなくもないな」と奇妙に納得させられることもある。何となく2人でミステリ小説のトリックを考えているとしか錯覚しかねない場面では、
​それが実際のむごたらしい殺人事件でありながらも、何となく楽しい気持ちにさせてくれるのが何とも嬉しい限りです。
じつはこのような場面は他の火村シリ-ズにもあるのですが、今作品ではそれが随所に頻繁に出てくるのです。

そして3つ目ですが、有力な容疑者の決定的な証拠が見つからない火村と有栖川は、出身地を訪ねて調査を行うのですが、そこで2人は決定的な「情報」を得ることが出来たのです。そこの描写を本文から拾ってみると、
『火村が事件の真相を射抜く瞬間に何度も立ち会ってきた。そして、同じものを見たり聞いたりしながら、どうして彼だけに判ったのか、と驚かされてきた。推理の道筋を説明されてやっと理解したものだが――​今回は違う。彼と私は殺人現場で起きた不可解な事件の謎を同時に解いた​。』

実を言うと、彼らが同時に謎を解いたまさにその時に、読み手の「私も」謎を解いたのでした!!大笑い。その時は、私も心が震えたのを覚えています。
ミステリ小説の中で「名探偵」と同時に真相にたどり着くことなど、普通ではありえないことです。しかし今回は著者にまんまとしてやられました。というよりか、貴重な体験をさせてもらった、あるいは滅多に味わう事のない「興奮」で脳が痺れてしまったと言ったら大げさでしょうか?

そして最後ですが、カバ-の美しい夕焼けの写真がありますが、この「夕焼け」に代表される景色がこの小説の大切な背景になっているような気がします。                               

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著者は「あとがき」の中で、『余情が残るエモ-ショナルな本格ミステリが書きたい』という漠然としたイメ-ジから本作品の構想をまとめて行ったそうです。
この『夕焼け』の場面は、別にカバ-だけではなく、物語の冒頭や訪問した場所でも象徴的なシーンとして描かれています。だからこそタイトルにも入っている訳ですが。
この夕焼けの鮮やかな色合いこそが、モノクロで殺伐とした殺人事件に、まるで砂漠の中のオアシスのような生命力と、殺人とは不釣り合いな懐郷的な雰囲気を醸し出しているのです。
そしてそれこそが、殺人事件を扱ったミステリ小説でありながら、場違いなように懐かしい、ある意味清々しい気分にさえさせてくれる結末だった、と思います。

数多くの有栖川有栖の小説を読んできましたが、その中で最も心に響く作品だったと言えると思います。

採点 (5段階で最高は5)
ジャンル : 警察犯罪ミステリ
スト-リ-の面白さ : 5
読みやすさ : 5
結末 : 5
ミステリ度(犯人捜しとトリック) : 5
主役のキャラ : 5
満足度 : 5+

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最終更新日  2023.12.21 19:40:41
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