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ベルギ-永住ミステリー小僧のブログ

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2025.03.10
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カテゴリ:ミステリー

​​​森博嗣の理系ミステリ-小説S&Mシリ-ズは、国立大学工学部助教授の犀川創平と、その教え子である西之園萌絵の理系コンビが登場する物語です。
全10作の5作目は『封印再度』、英語タイトルは『WHO INSIDE』といいます。『ふういん・さいど』とゴロが同じなので、いい加減な英語タイトルをつけた、と思われるかもしれませんが大笑い、実はどちらもこの物語に密接に関係しているキーワ-ドなんです。
『WHO INSIDE』はこのストーリーを通じてずっと疑問になっている点であり、一方の日本語タイトルの
『封印再度』は、物語のラストで最大の謎が解き明かされた時に真っ先に頭に浮かぶ言葉なのです。

ああ、だから
​​​『封印再度』なのか!​​​

ということです大笑い

この物語は、50年という歳月を隔てて、有る由緒ある日本建築物の屋敷の蔵で起こった2件の不審死をめぐり、犀川創平と西之園萌絵のS&Mコンビが真相の解明と『壺と鍵』の謎を解き明かしていく物語です。
​​​

​​​​​​​​​
この事件の謎を整理してみると、次のようになります。

1)50年前、日本画家の香山風采は蔵の中で胸を刺されて死んでいたが、凶器はどこからも見つからず、死体の近くに家宝の壺とハコがあるだけだった。
2)ハコは壺の中にある鍵で開けるようだが、壺の口が小さすぎて鍵を取り出すことは出来ない。一方でハコの蓋はどうやっても開かないし振っても音はしない。エックス線で中を調べたが、何も確認できなかった。

3)そして今度は息子の林水が仕事部屋として使っていた蔵から行方不明となり、蔵の中には大量の血痕が発見された。そしてすぐそばには家宝の壺とハコがあった。

普通は自殺ならば凶器がそばに落ちていないのはおかしいし、他殺にしては現場の状況と家族の証言から不審な点が多い。
自殺なのか、それとも他殺なのか? そして、家宝の壺とハコの謎は?


ということなんですが、この謎解きと並行して犀川と萌絵の間に『大騒動』が巻き起こります。
ここからは一部ネタバレ(但し、事件の本質以外のところ)を含みますのでご注意を!

この巻では萌絵は珍しく命の危険にさらされる危険な目には会いませんが、その代わりというのも変かもしれませんが、イブの夜に時間に正確無比の犀川が萌絵との約束の時間を1時間以上も遅れてやってきたことから、短気な萌絵は大爆発を起こします。激怒する萌絵と謝罪を懇願する犀川の、何とも言えないほほえましい光景を見ることになります。
実はそのことが後になって、もっと深刻な事態を引き起こすことになろうとは、その時の二人には知る由もありません。

そんなある日、研究室の飲み会で倒れ病院に運びこまれた
萌絵の容態について、西之園家の執事の諏訪野から「萌絵が『重大な病』である」と聞かされた犀川は、可能な限り萌絵と一緒にいいることを選択して、萌絵の叔母である佐々木睦子(県知事夫人でもある)の強い強い要望もあり、婚姻届けにサインして萌絵に渡すことにします。

しかし病室で婚姻届けの書類を見た萌絵は、突然泣き出してしまう。感激のあまりに泣き出したのかと思いきや、どうも様子がおかしい。萌絵は犀川に何処かにつれて行って欲しいと懇願する。

ここから二人の『深刻な』会話があるんですが、その中のさわりの部分をちょっと覗いてみることにします。

萌絵「どうして婚姻届けを持ってきたのですか?」
犀川「何かほかに考えられる理由があるかな?」
萌絵「いいえ」
犀川「つまり、言葉でちゃんと言えっていう意味?」
萌絵「同情ですか?」
犀川は答えられなかった。


萌絵の悪戯がわかって大喧嘩した後、なんとか仲直りした時の会話。
犀川「反省の色が全然見られない」
萌絵「もう、力いっぱい反省しています」
犀川「日本語になっていない」
萌絵「もう怒ってない?」
犀川「この怒りはね、記念碑にしたいくらいだ。許せないね、絶対忘れないから」
萌絵「約束に遅刻しても文句言いませんカード…、それにたちまち機嫌を直しますカ-ドを、それぞれ十枚つづりでどうですか?」

         
         萌絵って、こんな感じかな?


帰路、萌絵に発電所の近くで車を止めるようにいった犀川。
犀川「小さなとき、あの煙突を見たことがある」
萌絵「煙突だけ覚えているの?」
犀川「そう、僕はね、その時、こう思ったんだ。ああ、この煙突で雲を作っていたんだなぁってね。ここが空の雲を作る工場だったんだ、って思った。それで覚えているのさ」
萌絵「それ…、先生が今までおっしゃった台詞の中で、一番ロマンチックだわ。もう、ずば抜けてますよ。最高に…」

そしてラストの場面。
犀川研究室の助手である国枝桃子から受け取った、「ごちちそうさま」という奇妙なメッセ-ジの意味を尋ねる萌絵と国枝の会話。
萌絵「ああ。いいえ…。申し訳ありませんでした。私ちょっと、酔っぱらっていたんです。全然言い訳になりませんけど…」
国枝「別に干渉するつもりはない。でも、貴女、あの晩、犀川先生のところに泊ったんだ…」
萌絵「はい…」
国枝「良かったじゃない?」
萌絵「いいえ、全然」
国枝「どうして?」
萌絵「あの、私…、朝、目を覚ましたらベッドにいたんです。犀川先生のベッドでした」
国枝「そう…」彼女は一度頷くと、くすくすと笑いだす。「貴女のさ、そういう率直なところが、私、好きだな....。でも、何がいけないわけ?」
萌絵は大きなため息をついて、国枝桃子を上目遣いで見た。
萌絵「はい…、犀川先生は…、ソファで…」

                               

いいですねぇ、ミステリー要素の強い物語の中に、こういう何気ない、でも心を和ませてくれる珠玉の恋愛ネタの会話があると、小説を二倍も楽しめるような気持になるから不思議です。犀川と萌絵は、コンビを超えたパートナ-という感じがしてきます。

最後になりますが、壺の中にある鍵とハコの謎ですが、犀川は萌絵の目の前で「あること」をして壺の中から鍵を取り出し、それでハコを開けることを実演して見せます。
それが見事なんですねぇ、惚れ惚れするくらい見事な実演だったということを、ここで付け加えさせていただきます。
私はミステリ小説好きなので、これまで1000冊くらいのミステリーものを読みましたが、この謎解きはトップ3に入るほど見事だと断言できます! ジグゾ―パズルの最後のピ-スがバシッと嵌まった時のような、驚きと爽快な気分になったものです。
そしてこの鍵の謎が解けたとき、犀川と萌絵には不審死の謎など難なく解けたのでした。

事件とは別に今回の二人に起こった騒動により、それまでの真剣なようではぐらかされていた二人の間の微妙な関係が、決定的に前進したことを確信させてくれた一話といっていいと思います。
二人の関係がこれからどう進展していくのか、想像するのも楽しいですね。


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最終更新日  2025.03.11 16:12:48
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