2017/11/02(木)09:24
ある日どこかで
11月ですので、世の中は年越しの準備のように、
今年の総括のような話や来期の展望のような話が混ざり合います。
表題は1980年に封切られた映画の題名で、
主演はスーパーマンのクリストファー・リーヴで、
美しいお相手はボンドガールも演じたことのあるジェーン・シーモアのお二人で
ラブロマンスの傑作の呼び声高い秀逸な作品です。
観るまで全く知らない映画でしてNHKのBS2で放映され、
90分なので、なんとなく録画してみましたところ、
実に素晴らしい映画だったのでライブラリーに保存となりました。
最近気がついたのですが、
わが国やアメリカで年に何本かはタイムスリップ物が作られます。
全ての作品は荒唐無稽で都合が良すぎる話であり、
あるはず無い事なのに、幾多の名作が作られ、感動をつむぐ事になります。
気持ちよく騙されるのも悪くはありませんで、
矛盾を追及するなどと言うつまらない考えを持たずに、
エンターティメント作品として存分に楽しむ方が健康的です。
ある日どこかでの中にヒロインの若かりし頃に、
劇中に登場する時間旅行という本の著作者と相談し、
行きたい場所と時代に衣装や持ち物、昔のままの場所を造り上げて、1912年の世界に自らに暗示をかけ睡眠状態で過去にトリップする話です。
そこは当たり前ですが上手くいって彼女に会うわけで、
BGMも含め美しい感動的なシーンが展開されます。
若く美しいヒロインは彼に「あなたなの」と言います。
字幕ではあなたなのですが、言葉はイッツトゥルーに聞こえましたので、
「ほんとうなの」と言ったような意味になるかも知れません。
そういう意味では訳者の加納礼子さんの字幕の訳が遥かに素晴らしく、
少なくとも私は震えるような感動を覚えました。
こういった話は劇中感を持てる人が幸福になれる典型です。
きりの無い揚げ足を取るようなことを考えるよりも
映画の画面に入って行きたい気持ちが幸せになれます。
全くの偶然ですが、私事で近況のことがあり映画を見た途端、
20年以上前の場所と時に激しく還りたくなって、
映画の通り身の回りの物を揃える衝動に駆られ、
その刹那、決定的なものが失われてる事に気づき、
出来ない事に落胆して両膝をつきそうになりました。
次の瞬間、出来るはずなど無いのに気がつきましたが、
気がつくことが更に残念な気持ちになりました。
この映画を観た人が少なからず同じような気持ちになったのではと感じます。
近況のこともあり、何年ぶりかでさめざめと落涙した日でした。