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カテゴリ:中国
外交について 内田樹の研究室 http://uchida-tatsuru.blogspot.com/ きょうは、中国についてのお話でした。 過去に、中国に拉致されて音信普通だった義伯父が書いた本を読んで、だいたい、いまのアジアの国境線は、第二次大戦後に、日本から開放された国や、日本を制圧した国が武力、あるいは合意の上で引いた線であることくらいはなんとなくわかる。 しかし、日本がその合意にどこまで参加させてもらったかどうか、歴史に疎い私は、恥ずかしい話だが、何も知らないのだ。 過去の歴史を模倣して、大国となった中国は、ソビエト連邦が崩壊した後、広い国土と膨大な人口を抱えることとなった。 しかしその国土は、ソ連が崩壊したのと同じ背景。つまり、同一民族による国家ではなく、イデオロギーで強制的に囲まれたモザイク国家ということなのだ。 いくつものピースの間には、地図上では表現できない溝(過去)がある。 だから、国境線を守ることは、中国にとって国を守ること以外のなにものでもないはずだ。 例えば、少数民族の独立運動があちこちで起これば、中国だってソ連と同じ運命をたどるだろう。 そして、現在、中国の経済を支えているレアメタル等の鉱物資源の多くが、少数民族が元々支配していた地域から産出されていたりする。 仮に、独立した国家からの軍事的な圧力に囲まれたとき、漢民族だけの国家集団は、どれほどの緊張を強いられることになるのだろう。 それを避けるために漢民族の移住政策を採ったことで、少数民族の意識は、益々独立へと傾いているのが現状なのだろう。 中国政府は、もしものときに備えて、日本ともっと仲良くしてくれてもいいと思うのだが。 西洋列強、そして日本と、続け様に隷属を強いられた歴史を、簡単に忘れろというのも酷なことである。 私だって、子供の頃にいじめられたことや、家庭環境の厳しさや、大人になってからも、泥に泥を上塗りするような生活を引きずって、いまだに心の平安を得られずにいる。 そんな相手と手を取り合い言葉を交わす仕事は、議会制民主主義の運営のために選ばれた政治家には、荷が重過ぎるかもしれない。 だって、誰の言葉を聞いても、過去を知っている言動に思えないもの。 いまの外交に求められるものは、過去の日本が印した轍を踏まないよう心がける繊細さであり、アジアの同胞に対する気配りではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月27日 16時02分20秒
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