budfoxの気まぐれ読書録

桜の季節

桜の季節

 春を待てない中小企業経営者三人が散った。残したものは、死亡保険金で借金を返せとの業務命令書。そして誓いの乾杯をしたのかビールの空き缶。三人はホテルで首を吊った。

 一社は死亡保険金で息を吹き返したが、二社は社長の命むなしく倒産した。三人が命を捨ててまで守ろうとしたのは何だったのだろうか。愛?家族?それとも会社?。

 散り際は桜のようにというのが日本の美学。借金が滞っての銀行での土下座は見苦しい。

 借金を「返さない」のは悪だ。しかし「返せない」のなら銀行にも責任がある。銀行はビジネスとして審査をし貸したのだから。

 開き直ろう。「返せない」との土下座姿だって命がけならいいじゃないか。命の引換え相手が 借金だなんて悲しい。死ぬことはない。

 桜の咲く頃には貸し渋りは止み、景気も良くなると政府は言っていた。そしてもう桜は散った。天国の三人はこの地上の桜を一体どんな気持ちで見たのだろうか。聞いてみたい。



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