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カテゴリ:センスオブワンダー
先日、我が家で飼っていた金魚が死にました。
5歳娘と一緒に「お墓を作ろうね」といって 庭の木の根元に金魚を埋めようとしました。 穴を掘って土をかけようとしたとき 娘が 「なんで土かけてしまうん?かけてしまったらもう出てこれんやん。」 と言うのです。 ハッとしました。思わず息をのみました。 そうか…この子はまだ分かっていないんだ…。 「死ぬ」ということがどういうことか。 お兄ちゃんや大きい子ども達と一緒にいるし どこからかの情報で分かっているだろうと思っていたし、 私も教えた気になってたところもあった。 父親がよく冗談で 「オレが山で死んでも…」なんて話をすると すぐに娘が反応して 「パパ、死んじゃやだ~」とベソをかくように言っていたので わかっているのだろうと…。 なんというか…油断してました。 「あのね、金魚さんはいっかい死んだらもう生き返らないんだよ。 虫も犬も人も、みんなそうなんだよ。」 と彼女の目を見ながら言いました。 「ニンゲンも?」 「そうだよ。」 「………。」 娘は、少し考えるような不思議そうな表情で でも、哀しむわけでもなく 「ふ~ん。」 と言いました。 「なんで土に埋めるの?」 「土に埋めるとね、また金魚さんも土になるの。 そして、土の栄養をもらって草が生えたり、木が大きくなったりするやろ? だから、他の生き物に姿を変えて、また生きる事ができるっていうか…」 そんな説明でいいのかどうか?は自信がありませんでしたが その後、土をかけて、石をいくつか置いて、お花をたくさんお墓の上に飾りました。 そして二人で手を合わせ、私は先に家の中へ入りました。 と、しばらくたっても娘が入ってくる気配がありません。 ?と思って、窓から外を見ると 木の根元のお墓の側で、娘はしゃがんだままじっとしています。 いろんなところからたくさん集めてきたお花を飾りながら 彼女は何か話しかけているようでした。 時折、歌も口ずさんでいるようです。 何を話しているかは分かりませんでしたが 私は声をかけるのをためらいました。 娘に気づかれないように、そっと見ていました。 木漏れ日の中で、娘の髪が風に吹かれています。 とても静かな、穏やかな時間が そこに流れていました。 ようやく腰を上げた彼女は 立ち去ろうとして、ふと立ち止まり 後ろを振り返ってお墓に「バイバイ」と手を振ったのです。 腰の辺りで小さく。 そしてまた歩き出し、もう一度立ち止まって また「バイバイ」。 それをもう一回繰り返して あとは元気よく走って行きました。 彼女の小さく柔らかな感性は 「金魚のお墓」に何を感じたのでしょう。 生きるとか死ぬとか、 そんなことはなかなかイメージできない小さな心でも その意味を考える土台になる出来事のひとつになったのでしょうか。 日々変わってゆく小さな人たちの心。 ちゃんと心の目も開いて見守っていかないとな~ などと感じたひとときなのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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