父死すとも父 死 す と も 父は死す その死を告げし母の声 ふるい立つ我が身の嘆き声にならむ この夜半のこの時だけ我ひとりを感ず 心の奥にまだ信ずべき生きし父よ 父の恩に報いようと思いつつ過ぎし日々過ぎし日々 今まさに我が心積み木のごとく崩れたり 枕辺の父は言葉も発せず静かに眠る父なるや たった一人の父ならば涙ながれてやまざるや ああ父ゆえに我はあり ああ我が父よ我が父よ 言葉がほしい我が胸にたくさんの教えとお叱りを 我に与えたまえと願えしもなんの声も返らざれ ああ人形のような父悲し 我が母も涙流れて咽ぶなり ああ母よ父死すとも嘆くなかれ わが息子とともに生きようぞ 我に父への愛をたくせ希望の光を見出せよ なんら常と変わらず強く生きようぞ 父死すは我が母への強き愛深まりし深まりし ああ父死すとも我は涙をこらえようぞ 我ひとりこの悲哀を一身に背おいて母と歩むぞよ ああ父よ深き地底に眠りつも我の行く末見届けよ 怒涛なる父の人生それゆえに母も強く強く生きてきし 父消えし我ら母子の心情はいつも父を忘れじと 今日から強く生きるぞよ ああ父よ わが父よ 我ら母子を見届けよ |