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2019/12/07(土)13:53

坊っちゃん

頭  出  し  小  説  等(110)

​​​  坊っちゃん     親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。  小学校に居る時分学校の2階から飛び降りて1週間ほど腰を  抜かした事がある。  なぜそんなに無闇をしたと聞く人が  あるかも知れぬ。  別段深い理由でもない。  新築の2階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、  いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。  弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って  来た時、おやじが大きな眼をして2階眼位から飛び降りて    腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに  飛んで見せますと答えた。  親類のものから西洋製のナイフを貰って綺麗な刃を日に  翳して、友達に見せていたら、1人が光ることは光るが  切れそうもないと云った。  切れぬ事があるか、何でも切って見せると受け合った。  そんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指位  この通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。  幸いナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、  今だに親指は手に付いている。                 著者: 夏目 漱石  昭和25年1月31日 発行  1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)  に生まれる。  帝国大学英文学科卒。松山中学、五高等で英語を教え、​      英国に留学した。     ​ 留学中は、極度の神経症に悩まされたという。​  帰国後、一高、東大で教鞭をとる。  1905年(明治38)年「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。  翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。  07年東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。  「三四郎」「それから」「行人」「こころ」等、日本文学史に  輝く数々の傑作を著した。  最後の大作「明暗」執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。​ ​​

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