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2022/02/04(金)20:18

ジ ャ ン グ ル 生 活 2 8 年 の 秘 密

元 日 本 兵 ・ 横  井  庄 一(33)

​​​​​​ジ ャ ン グ ル 生 活 2 8 年 の 秘 密 シ ュ ロ の 皮 で ” 火 ナ ワ ” シ カ の 肉 を ベ ー コ ン に 横井さんのジャングル生活は ”生活の知恵” に満ちていた。 それも洗たく機でジャガイモの皮をむいたなどという ふざけたものではない。​​ どうしたら人間らしく生きられるかという突きつめたものだ。 生活の知恵を増すごとに、横井さんは生きがいを感じ、だから 孤独の生活にも耐え抜けた。 「 自分の体力からいって、あと30年は生きられたと思う 」ーー 横井さんの自信はそこから生まれた。 ​​​​住​ ​はじめは懐中電灯のレンズでココナツヤシの繊維( 皮と果肉の間にある ) をほぐしたものに太陽の光で点火、​小学校の理科の実験でやるあの方法である。 そのレンズを落として破損したため使用不能。 そこで思いついたのが原始社会と同じ方法。 木にあけた穴に別のかたい棒をこすり合わせて発火させる。 しかし必要のたびにこれをやっていたのでは時間がかかって たまらない。 雨の日など火がつかないことも多い。 そこで火を保存するために火縄を開発。 火縄はシュロの皮で作った。 それも作るとなると何Ⅰ0メートルもいっぺんに作り、 20センチくらいのボール状にしてある。 とっさに火が必要なときには拾ってきた小銃、機関銃の 火薬をサラの上にこぼし、火縄でボーッと燃え上がらせる ことも考えついた。 技術革新はさらに進み、ヤシの実から油をとり、火縄を 使って夜の灯火を燃やすことも思いつき、ナベのカケラ を使ってランプザラを作った。 火が保存できても逃亡者にとって煙を出すことはタブー。 竹であんだカゴに木の皮や繊維をつめ、料理をするカマド の上に乗せ煙が一度に立ちのぼるのを防いだ。 このカゴは大小二つあり、二つとも煙のすすで真っ黒になっている。 横井さんはこれをオーブンがわりに使い、肉などのくんせいも 作ったという。 ​​食​​​ パンの木の実、ヤシによく似たフェデリコの実などが主食。 フェデリコの木の実は毒性があるが、水につけておいて毒抜きを してから乾燥し、おろしガネで粉末にし、水でこねて焼いて食べた。 副食は川でとれるエビ、魚、カタツムリ、野ネズミなど、なんでも。 魚をとるために竹でヤナ( 太さ20センチ、長さ70センチ )を 4つ作り、いつもそのうちの3つをナワで作った袋に入れ、川へ 持って行き、別別のところに仕掛けておく。 エサは食べ残したものやココナツの実。 まるで民芸品のように丈夫で、精巧に作られている。 エビのほかウナギもときどきとれた。 ネズミをとるため、針金でネズミ取り器も作った。 しかし、これにかかったのはたったⅠ回だけ。 そのときの野ネズミの肝臓のうまさは こたえられなかったという。 動物性タンパク質をとるため、落とし穴もつくった。 これも28年間に2度だけ成功。 一度はシカ、もう一度は野ブタ、この野ブタ料理法が 悪くて猛烈な食中毒を起こした。 シカは煙抜きのカゴでベーコンにもした。 水は竹筒で雨水をとるほか近くの川の水をわかして飲んでいた。 ​衣 洋服​に使った繊維は縄なんかと違ってパゴという木の繊維。 これを糸状に切りさいて干しておく。 洋服を作るには布が必要。 そのために木の枝を弓状にしならせて、びっしり横糸を張り、 それにこんどは縦糸を通して織物ができ上るという仕組み。 全部で3着縫い上げたというが、スタイルはそれぞれ 変えてあり、上着のボタンは2つ、3つ、6つと バラエティーに富んでいる。​ 上記、記述は、1972年( 昭和47 )Ⅰ月、 新聞に掲載されたものです。​

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