軍 歌 を 愛 す る 男
軍 歌 を 愛 す る 男 溌剌とした好青年であった 大学2年になる男にどんな思想があるのか そう思わせるほど今時めずらしい人物だった それはいつもカラオケで歌うときに青年は ただ一人軍歌を高らかに歌うからである 軍歌だけを持ち歌にしている男だった 青年が指をさす歌詞カードは 「 学徒出陣の歌 」であった 時代遅れのメロディーにみんな だまって耳を澄ますのであった しかし青年の歌のうまさは抜群!! 歌が終わると友人たちからは 拍手喝采の嵐であった 5尺の命ひっさげて~♪ 国の~殉ずるは我らが学徒の面目ぞ~♪ ああ~紅の血は燃ゆる~♪ 青年は意気に感じて軍歌をうたう なぜ軍歌を歌うのですか? 青年に聞いてみると・・・ 僕は大学のサークルで「軍歌同好会」 のリーダーをやっています この歌は学業を捨てて戦地に出征 していった学生の歌でしょう! 軍歌にはどの歌詞にも背景には 家族があり国家があり時代があって 今の歌よりずっと奥深い心があります この歌も学業を捨てた男心が歌詞に 表現されているので内容の良し悪しは 別にして感動してしまうのです ああ~紅の血は燃ゆる~♪ こんな言葉にまあ~酔いしれて・・・ 軍歌は振り向かれもしない過去の ものになりましたがわれわれはもっと 昭和の時代に何があったか知るべきです 戦争で犠牲になった多くの戦士たちを 弔うために軍歌はあると思うのです 国家を考えない今の時代に国家を思う 祖国を思うきっかけになるのが軍歌です 固いことをいいますがこういう学生が 一人くらいいたっていいでしょう・・・ 軍歌によって国を思うなんて変人ですか? 同好会はいま男5名・女2名ですが もっと仲間が増えるように活動します 青年はそう語ったのだった