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文の文

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迷子の道しるべ・25

迷子の道しるべ・25 2006年6月号
gekkabijin

☆ うれし! 2006 06/02


小説の教室で褒められた!!
ふふふ、うれしい。
こんなことは二度とないかもしれない。
十分にこのよろこびを噛み締めておこう。
うふふふ、うふふふ、うふふふ。
ちょっと酔っ払い・・・。


☆ ひとりぼっちでいること 06/05

わたしたち家族が
ひととの距離を必要以上にとってしまうのは
それぞれが大なり小なり
苛められ体験をもっているからかもしれない。

ひとりぼっちでいることが
平気なのではない。

さびしくて
夜中に誰からも忘れられた自分が
悲鳴を上げることもある。

静か過ぎる時間が耐えがたくて
町をうろつくこともある。

だけど、
だからといって
ひととの距離をつめられない。

ひとのこころにこころを添わせることはできる。
できるために疲れしまう。
添わせることができたからといって
相手もおなじように添わせてくれるわけでもない。

たくさんの失望もある。
たくさんのやりきれなさもある。
たくさんのあきらめもある。
なにもはじめない安心は不安のさきのものだ。

ひとりぼっちでいること。

そのまわりで思いがぐるぐるしている。


☆ごめん   06/09

わたしはときどき
みもふたもないことを言うらしい。

そういうのを聞いた人へ
ごめんなさい。


☆ プラスマイナス  06/10

あなたはプラス思考ですか?
マイナス思考ですか?
とたずねられたら何と答えよう。

わたし、マイナス思考だと思う。

プラス思考でいって
ガツンと食らいすぎたからそうなったのよ
きっと年寄りに育てられたからそうなのよ
なんて誰かのせいにしたりするのは楽だけど
腹を括っておいたほうが見苦しくないと、
いつのころからか思うようになったんだろうな。

小心者ってことでもあるかな。

ツーテンジャックというトランプゲームがある。
絵札を取って点数を競うゲームなのだけれど
スペードがマイナスになる。
なんだか人生の悲哀のようにスペードがよってきたりして
楽しめるのか身につまされるのか分からんゲームだな
と思ったりするのだが

このゲームのおもしろいのは
スペードの役札を全部集めるとプラスに変わるというところだ。
いままでプラスだった札はマイナスになる。
これが出来たら国士無双くらい快感だろうなと思うのだが
未だそんな快挙におよんだことはない。

マイナス思考というのも
つまるところ、すべてのマイナスを出し切ったら
悪い方へ悪い方へ考えていって
もうもう家なき子になるか
パトラッシュとしっしょに眠るように逝くかしかないな
ってところまでたどりついたら
そうなったらじたばたしてもしょうがない
空が落ちてくるんじゃないかと不安になって
不安で不安でしかたなくても結局なるようにしかならんなと
思えるんじゃないかなって気がしている。

旅行に行くのに、アクシデントばかり考えてしまう。
で荷物が山のように増える。
しかし、それで安心できるのも事実だ。

プラス思考はいいことかもしれん。
少女ポリアンナのようにものごとの良い面をみて
善意に解釈していくことは前向きでよいことだ。

でも、ものごとの悪い面を見ないようにすること
なかったことのように振舞うことは
いかがなものかと思ってしまう。
プラス思考のじたばた画策のようなものもあるように思う。

ほころびを手のひらでかくしてもほころびは消えず
おおきくなっていくばかりだ。
今にほころぶんじゃないかと思っていたほうが
手当ては早い。

大丈夫なんとかなるというのと
なるようにしかならんというのは
似ているようで違うと思う。
そう覚悟か違う。

でもまあ、
マイナスが集まったらプラスになるというプラス思考。
それが必要なのかもしれないな。


☆ 2006年5月読了本  06/12
「村上春樹全作品集 1990-2000 短編集」
「蛇にピアス」(金原ひとみ)
「哀歌」(遠藤周作)
「花影」(大岡昇平)


☆ やんごとなきひとびと 06/15

朗読でいっしょになるHさんの
おばあさんのおねえさんは
明治天皇の女官長だったとか。
貴族の血筋だとか。
昔の実家の敷地の広さを聞くと
目を剥いてしまう。
相続税対策で寄付した土地が
図書館になっているのだそうだ。
まったく世の中には
桁違いなひとがいるもんだ。


☆ 仕事  06/17

リリー・フランキーさんが
昔のお百姓さんは
すぐにお金がもらえることを生業といい
土地を耕したり肥料をやったり
お金にならないことを仕事といったんだ
と解説していた。

わたしのしていることはなんもかんも
お金にならんことばっかりだけど
そうかこれもそういう意味で仕事なんだなっと
すこし気持ちが楽になる。

☆ 旅   06/18

安藤広重の浮世絵展を見た。
東海道53次。
いろんな版があったのだと知る。

人物画の得意なひととコラボしてる53次もある。
なんか自由な発想だ。

休日の原宿は雨なのに
たくさんの若者で満ちていて
この子たちに必要なのは
東海道を歩いていくような旅かもしれない、
とえらそうに思ったりする。

出会うこと
なじむこと
おもんばかること
ゆずること
くふうすること
無事をたのしむこと

そんな言葉が
あたまのなかをいったりきたりする。


政治  06/24

太田光はけっこうすごい。
大田総理の番組を
息子2がしっかり見ている。
政治を息子2にこんなに近づけてくれた人が
いまだかつていただろうか


☆ 花よりもなほ  06/24

「はなよりもなほ」という映画を見た。
あだ討ちのお話。

江戸時代の長屋に住まい敵を探す侍・岡田准一くん。
3年たってもいっかな見つからず
だんだんうらぶれた長屋になじんでいく。

この長屋の佇まいのすごさ、リアリティ。

長屋のユニークな面々は貧しくもたくましく
健気に愉快にしたたかに日を送る。
おつむのあたたかな無垢なおとこもいれば
計算高く立ち回る男もいる。
悲しい子供時代を送った悲しい目の青年もいれば
かつてだれぞに仇討ちされた男の妻と子もいる。
春になったら切腹したくなる男の刀は竹光だ。

そんななかで手元不如意になった岡田侍くんは
手習いそろばんを教え始める。
子供たちに教える姿は
仇を探すより、剣を持つより生き生きとして見える。

そして宮沢りえのきれいなこと。
幸せになっておくれとついつい願ってしまう。

サクラの花が潔く散っていくのは
来年また咲くと知っているから
という言葉の意味は深い。

探し当てた仇にも事情がある。
赤穂浪士の話もからまって
話は都合よくころがっていくのだけれど

もっとも印象的なのは
一番最後のアップだ。
岡田くんの笑顔は限りなくやさしい。
あの笑顔のためにこの映画はあるのだと思った。


☆ 此処彼処  06/26

川上弘美さんの「此処彼処」読了。

エッセイである。
川上さん個人の歴史や暮らしぶりが
ほのみえて、なんだかうれしくなる。

川上さんが帰国子女であること
幼い頃病弱で入院していたこと
高所恐怖症であることや
日本橋の高島屋のエレベーターの乗りにいくこと
新婚旅行にマダガスカルへ行ったこと
愛知県に住んでいたこと
家事能力の欠如や親戚付き合いが
うまくいかないと悩むひとであること

ものかきは嘘をつくものです、と
高井先生がおっしゃっていたので
そのまままるごと鵜呑みにしてはならん、と
思いつつもなんだか笑みがわく。

と同時にそのなんということはない
来し方や暮らしぶりを
文章においてはこういう編み方もできるのよ、と
さらりと見せつけられてもいるわけで
ラスト5行、3行のストンと胸おちさせるマジックに
ううう、おそるべし、と唸ってしまうのだ。

近くなり 遠くなりする 川上弘美

という感じの本だった。



☆ 入院   06/28

親友が入院。
リンパ浮腫に菌がはいって40度の発熱。
抗生物質等、朝夕の点滴のための入院。
いずれ回復するだろうが
入院ときくとドキンとする。

乳がんでリンパ節を取っているので
リンパ浮腫になる。
リハビリ科に通ってバンテージしている。

最初の手術から6年。
3年目に再発、手術。

こんなふうな日々の生きづらさを抱えて
なおも生きる。
生き死にの境界線を跨いだ人間の覚悟。

「でも、孫が抱けたもんね」

そう言った彼女の笑顔が浮かんでくる。
がんばれ!



☆ 恩田陸というひと。  2006 06/29

恩田陸さんの「図書室の海」読了。

この作家は時間軸を自由に操る。
時に容赦なく。
時に情け深く。

空間移動もそれに重なる。

思いが時間軸を変える。
そこにひとの息遣いがある。

この作家には不思議がある。
不思議が点滅する。
ここかしこで。

それを追っていくと
自分が作家の中にある
大きな時間のうねりのなかを
さまよっているのだと気づく。

短編はたくさんの冒険が出来るのだなと思う。






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