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文の文

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社交的つながり・文の文4




定点観測   2006年09月08日



駅前のマルイのエレベーター前で、しばらく涼んでいた。
ここはけっこうすずしい。

で、見るともなく見ているとわずかなあいだに事は起こる。

ちいさなおんなこをつれた若いおかあさんが公衆電話で話し始めた。なにやら込み入った話らしくて、長電話になっていた。

おんなのこは退屈したらしく、受話器を置くところを押してしまう。当然電話は切れ、おかあさんは怒る。

怒るが、話が途中になってるもんだから、また電話をしなおす。その事情など話すものだからいよいよ話は長くなる。

おんなのこはますます退屈してしまう。

で、こっそりおかあさんのカバンからお茶のペットボトルを取り出して、フロアーにまきはじめた。

ようやくおかあさんが電話を終えるとどこそこに薄茶の水溜りができていた。

こらっ!とおかあさんは怒るが、水溜りはそのままにして去っていった。
 
そのマルイのビルの最上階とその下の階はホールになっていて、催し物やセミナーが開かれることが多い。

今日も何事かがあったらしく、エレベーターが開くと、ダークスーツに身を包んだサラリーマンが続々と出てきたのだった。

およそエレベーターから出てくるひとの目線は高い。きっと、エレベーター内で上を見ていたからに違いない。

だからだれも足元の薄茶色の水溜りには気がつかず、その上を踏みつけていく。

踏みつけても気づかずに行ってしまうひともいるし、気づくひともいる。

気づいたひとは、床を見る。よくよく見てみると、そこにあるのは薄茶色の液体なのだから、連想するものは・・・よくない連想であるにちがいなくて、ぎょっとした顔になる。が、仕方がないのでそのまま歩く。

そんなサラリーマンの一群はエレベーター横の出口から去った。駅に向かうのだろう。

そのあと、自由業という感じの小柄でおしゃれな男性が現れた。

はやりのちょいワル風だが、おばさんが見るとかっこつけすぎてイヤミだなと思ってしまうようなひとだ。

このひともその薄茶色の液体を踏んでしまった。

なにしろおしゃれさんだから自慢の茶色のとんがりくつはピカピカに磨いてある。これがシミになってはと気になるのか、なんども靴と靴の裏をみたりする。

それで気が済んだらしい。このひとは出口ではなくマルイの店のほうへ向かって進んでいった。

ちょいワル男性は、上着を腕にかけたまま、化粧品販売員のきれいなおねえさんたちを意識しながら少々気取って歩いているように見えた。

そこには罠のように、おんなのこがお茶を広範囲にまいていた。彼はまた気づかずにその上を歩き、こんどは足をとられてすっころんでしまった。

片方の手にはカバン、もう片方は上着でふさがっていたので、しりもちをついたのだった。

立ち上がった彼は気取った顔などかなぐりすてて、憤懣やるかたない顔で床を指差し販売員のおねえさんたちに注意した。

おねえさんたちは平謝りした。それを見届けて彼は去った。

おねえさんたちは清掃のおじさんを呼び、ふき取ってもらった。その間中、おねえさんたちは、顔を見合わせては思い出し笑いをしていたのだった。


ばさまといっしょ 2006年09月12日


遠距離介護になるんでしょうね。
姑のCT検査の付き添いで京都1泊2日。

ふだんいっしょに暮らしていないから
いろんな意味で戸惑いが多くて
いささかお疲れであります。

365日いっしょだったら、
わたしのほうが先に逝ってしまう・・・。

*******

CTの検査結果をにらみながら
よからぬものがみつかったという主治医の女医さんに
「病気はない!」ときっぱり言い張る姑。

からわらでオイオイオイ!の気分。

やたら病気にくわしい嫁に
「あんたは体が弱いさかいに病気にくわしい」
などと妙な褒め方をしてきた姑は
病気のことで嫁に頼るのもなにやら居心地悪く口惜しく

「わたしは健康やさかいに病気なてしたことあらへん」
というのが口癖の健康自慢であったから
誇りにかけても、自分の病気を認められない。

以前は胃潰瘍もやったというし
肺によからぬものがみつかったこともあったし
(不思議なことにいつしか消えてしまったのだが)
脊柱管狭窄症になって手術もしたのだが
そんなことはなかったことになっている。

挙句
「それより、はよう死にたいねん。
なんなと病気がないと死なれヘンさかいに
このままほっといたら死ねるしちょうどよろしいわ」

なんてことを姑は主治医に向かって言うのだが
主治医はいつものことらしく動じない。
いっそはっきり言ってくれるから小気味いいという。

「しかし苦しみますよ。
脳梗塞か心筋梗塞でも起こさないかぎり
そうあっさりとは死ねませんよ」と主治医。

「ほんなら、脳梗塞が起きるように
してもらうわけにはいきまへんか」と姑。

「はははー、それはしたことがないなー」と・・・

小心者の嫁は
そのビシバシ飛び交う言葉のラリーに
深いため息をついたのだった。

*******
参照

これを読めば、ばさまと嫁の歴史がよくわかる・・・かもしれない・・・。

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コネクション 2006年09月14日



ああ白状しておきましょう。わたしはとてもミーハーです。
有名人のプライベートな話など、もうもうはずかしいくらい耳ダンボなのであります。

まったく世の中には幸せなめぐり合わせを経験するひとがいて、ええー、あのひとと!!というようなひとの体温をまそばで感じてすごしてきたひとがいるんですねえ。

中学高校時代の親友「ムゲ」のおにいさんは、辺見まりさんの初恋のひとで、その昔小川宏ショーのそんなコーナーに呼ばれたのでした。

余貴美子さんは年上の友人千鶴子さんの長男のクラスメートだったし、岸恵子さんは前の同人誌メンバーの鈴木さんの隣人だったし、その鈴木さんの奥さんは北原武郎の姪で、ある時期宇野千代さんをおばさんと呼んでいたんですね。

ちなみにその鈴木さんは教科書裁判の家永さんとも親戚だとか。

松あきらさんは嶋田さんという友人の中高のクラスメートで、選挙のときはなにかと声がかかるのらしいし。

先だって親しくなったさちこさんは友人みどりさんの同窓生なのですが、さちこさんのおねえさんの再婚相手が元ビレッジシンガーズのメンバーのキンチャンというひとなのだそうです。(顔が思い出せないのだけれど)

そして、朗読の教室のおばさまは三島由紀夫と家族ぐるみのお付き合いをしていたそうで、息子さんの幼稚園を紹介したこともあるのだとか。

三島由紀夫コネクションはなんだか格がちがうなあ。わたしの有名人コネクションコレクションのなかでは、ひときわあざやかな一品でありましょう。

うちの同人誌の主宰が川端康成の棺を担いだ話や新聞記者時代、天皇陛下に奥さんの旧姓を告げて、彼女を知っておられますか?という質問をして、陛下が「知ってますよ。かつて、そのひとがいるから、学習院はテニスで優勝できなかったんです」と答えられたというエピソードと肩を並べるかもしれません。

なんて・・・こんな雨の日はそんなコレクションを取り出しては眺めてたのしむのであります。

・・・みなさんそんなコネクション、お持ちなのかしら?


あかんわ 2006年09月28日


頭が悪いのはもともとなれど、ここへきていよいよ調子が悪い。

京都でばさまのものわすれ菌に感染したのか、などとおばかなことを考える。

体型的に暑いのは苦手なのだけれど、涼しくなると体がこわばってしまう。脳みそもいっしょにこわばって萎縮してるのかもしれんと不安になる。

作文を書いていて、言葉がするすると出ない。

本当に言いたいことのまわりとぐるぐるしていて、足元にある言葉を拾い上げては、ああ、これは違うなとうしろへ放り投げているような感じ。

しっくりこない言葉ばかりが浮かんでくる。

いや、それはもともとの自分を過大評価しすぎでないの?と自問したりもするのだけれど・・・。


もうひとつは作文のセンサーがなかなか振れないこと。
思いがかさついてきたのかと不安になったりもする。


ま、時にこういうエアポケットに入り込んでじくじくした思いを抱くのもわたしなのだけれど・・・。

思い出し笑い。 2006年10月03日


だれにも見られなくてよかったなあと思う
恥ずかしいことがある。
そんなことを思い出してはひとり笑う。

先日もあまりに草臥れて
椅子に座ったまま居眠りをしてしまった。
わたしの椅子は今これなのだけれど
http://plaza.rakuten.co.jp/bunsanti/diary/200511150000/

ドリンク剤のCMでうっちゃんが「ちかれました」と
うしろにそっくり返るみたいに
これに思いっきりもたれて寝入ったら
なんとこの椅子がウィリーをしたのだ。
頭から落ちていったのでる。

これがえらくゆっくり落ちるもので
ああー、あほやー、なにやってんだかー
なんて思いながら天井を見つめることになる。

アイテーといいながら起き上がったら
笑えてきてしょうがなかった。
これ人前でやったら死ぬな・・・
とか思ったりしていると
息子2の参観日が思い出された。

低学年のときだ。
椅子に座った彼は4本ある椅子の前足(?)を宙に浮かせて
後ろ足でバランスを取ってかくかくと揺らしていた。
授業中に。しかも参観日に。たくさんの母親の前で。

それだけでもブチに行って
あいつ性根を正してやろうぞ!なんて思いがふつふつとわいて
それを押さえるのがたいへんだったのだけれど
そうこうするうちに
椅子のバランスが崩れて彼は後ろに倒れてしまったのだった。
きまり悪そうな顔をして起き上がると
その後はカクカクをしなくなった。
なにが教訓になるかわからないものだ。

そうだ、参観日といえば
やはり低学年のとき図工の授業のときだった。
彼は先生の話の間じゅうはさみを口に入れて動かしていた。
舌切り雀か、おまえは!と怒鳴りたいところだったが
それはなんとか押さえた。

しかしそのはさみで彼が
新しいポロシャツを切ろうとしたときはさすがに声が出た。
「ああ、それはマンシングよー」

社交的つながり・文の文・5へつづく


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