分太郎の映画日記

2007/06/08(金)15:51

『銀座の女』

日本映画(1951~60)(36)

 水商売ものは吉村公三郎監督の一つの得意ジャンルであろうが、そのコメディ版。東京・池袋の新文芸坐で2007/2/3~16に開催された「匠 吉村公三郎の世界 -吉村作品の中の名女優たち-」にて鑑賞。  評価:☆☆☆  銀座にほど近い芸者置屋。老後を心配して大学生を囲う女将をはじめ、税務署に勤める兄のおかげで人気者の芸者や、夢見て宝くじを買い続ける者、初めの旦那:浪曲師への反撥からジャズ好きの者、見習いの薄幸の少女、等々が、日々不安と不満を持ちながら暮らしていた。女将のパトロンと青年からの別れ話は近所のバーのマダムと女給を巻き込み、そして置屋が火事になって……。  話の展開をみると、同じく芸者置屋を舞台にした成瀬巳喜男監督の名作『流れる』(東宝、1956年)のパロディっぽいが、こちらの方が製作年が1年早いというのはちょっと意外。  コメディとしては、火事が放火と判明する後半からが俄然面白く、警察署長役の殿山泰司がいい味を出している(吉村監督の『電話は夕方に鳴る』でも署長であったが、あちらがダメダメぶりを発揮しているのと比較すると興味深い)。  主人公の轟はじめ、脇役も芸達者な人を揃えており、吉村監督作品の中ではあまり話題になることはないが、もっと評価されてもよいのではないかと思う。 『銀座の女』 【製作年】1955年、日本 【配給】日活 【監督】吉村公三郎 【脚本】新藤兼人、高橋二三 【音楽】伊福部昭 【出演】轟夕起子、乙羽信子、藤間紫、南寿美子、島田文子 ほか

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