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2007.04.11
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 『ロボコップ』『氷の微笑』の鬼才ポール・バーホーベン監督の最新作は、ハリッウドを離れ、23年ぶりに故国オランダで撮影したもの。
 第二次世界大戦、ナチス・ドイツ占領下のオランダを舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも毅然と生きるユダヤ人女性を通して、レジスタンス運動の光と影を描き出した傑作。また、重いテーマを扱いながら、エンターテインメントとしても成功している戦争映画は久しぶりに見たかもしれない。
 テアトルタイムズスクエアにて鑑賞。

 『ブラックブック』 評価:☆☆☆☆☆
【あらすじ】
 1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。かつて歌手だった美しいユダヤ人女性ラヘルは、隠れ家を爆撃されてしまう。新たな隠れ家へ忠告に訪れてきた男の手引きで、ドイツから解放された南部へユダヤ人仲間と逃亡する途中、待ち伏せていたドイツ軍によって、彼女の両親や弟、仲間はみな殺されてしまう。辛うじて生き延び、レジスタンスに助けられた彼女は、エリスと名前を変え、またブルネットの髪をブロンドに染めて、葬儀屋のカイパース率いるレジスタンス運動に参加する。
 5か月後、エリスはその美貌と歌声を武器に、スパイとしてナチス諜報部の将校ムンツェに近づいていく。しかし、本来憎むべきはずのムンツェは、英国軍の爆撃で妻子を亡くしており、彼の優しさに触れたエリスは、次第にムンツェを愛するようになってしまう。
 一方、レジスタンスのメンバーたちは、元医者ハンスの指揮のもと、ナチスに捕えられた仲間の救出作戦を決行するが、待ち伏せにあって失敗、裏切り者の存在が浮かび上がり、それはエリスだと濡衣が着せられてしまう……。

 タイトルの「ブラックブック」とは、多くの書物がその存在を指摘しているもので、無用な流血を避けようとしたオランダ・ハーグの弁護士デ・ブールの日記帳のこと。彼は、ドイツ軍の指令部とレジスタンスとの仲介の交渉にあたっていたため、裏切り者と協力者の名前が載っているとされる。ブールは終戦直後に射殺され(犯人は不明)、“ブラックブック”の行方も杳として知れないという。
 本作では、ある人物が持っている手帳がブラックブックとして、裏切り者の解明に役立つことになる。
 ただ、オランダ以外では分かりにくくい、訴求力はちょっと弱いタイトルかもしれない。

 ストーリーの展開は実際の出来事に基づき、また登場人物も実在の人物をベースにしただけあって、占領するナチスに抵抗するレジスタンスの暗部を浮かび上がらせた戦争映画として秀作になっていると思う。
 が、それと共に、裏切り者は誰かを謎とくサスペンス映画として、非常によくできた作品ではなかろうか。反戦映画としての戦争映画を期待する人には、そこに違和感を感じるかもしれないが、幅広く多くの観客に訴える手法として優れていると思う。
 もちろんミステリーに目の肥えた人からは、犯人像が類型的とかミスリーディングがオーソドックスなパターンとかの指摘はあるだろうが、いわゆる史実を話の中心に据えることでその辺をうまくカバーしており、ミステリーファンも十分に楽しめる作品になっている。そこが、同じように裏切り者は誰かを描く『アンフェア the movie』(現在公開中)が、話のための話に陥ってしまっているのと大きく異なる点だろう。

 映画のラストは(ネタバレになるが)、1956年10月、主人公が本名のユダヤ人「ラヘル」として幸せに暮らしているイスラエルのキブツにおいて、戦争(第二次中東戦争:スエズ危機)が始まる予兆で終わる。彼女の幸せはつかの間のもので、改めて戦争に振り回されることを暗示していて、いろいろと考えさせる終わり方だ。

 役者陣では、何と言ってもヒロインを演じたカリス・ファン・ハウテンが美しく、そして強く毅然としていて素晴らしい。これだけ凛としたたたずまいの女優は、最近では珍しいように思う。
 その彼女に、200リットルもの汚物を頭から浴びせるシーン(!)は、バーホーベン監督がバーホーベン監督たる真骨頂だろうし、人によって好嫌が分かれる部分だろうが、それを文字通り体当たりで演じたカリスこそ、本当の映画のミューズだ。
 映画の中で披露する彼女の歌も大変に上手く(予告編でも少し聴ける)、サントラを購入してみようかと思ったほど。実際にプロの歌手としてもやっていけるのではなかろうか(って、吹き替えだったらどうしよう…)。

 そのカリス・ファン・ハウテン、オランダ映画などあまり見る機会がないにも関わらず、どこかで見たことがあると思ったら、パンフを見て納得。『ネコのミヌース』の主人公、人間になってしまったネコの役をコミカルにキュートに演じていた女優さんだった。この映画、東京では確かポレポレ東中野でしか上映しなかったが、私はネコもの映画も好きなので、たまたま見ていた。傑作と呼べるほどの出来ではないものの、『ネコのミヌース』も機会があれば一見をお薦めする(DVDあり)。
 日本では公開されないかもしれないが、彼女の出演する次作も大いに期待したい。

 ドイツ将校のムンツェはちょっと良い人すぎる感はあるが、『善き人のためのソナタ』のセバスチャン・コッホが好演。
 また、ナチスに媚を売る日和見主義的な女性ロニー役のハリナ・ラインも、非常に巧い役者だ。話的には、ロニーが一番幸せになったようなのも(映画の冒頭では、終戦のどさくさでつかまえた旦那と巡礼旅行※しているし)、何だかとても象徴的だった。
 ※ 表記を直しました。あ、巡礼旅行が幸せかどうかは分かりませんが……^^;

 ポール・バーホーベン監督は、私的には『ロボコップ』や『トータル・リコール』、そして『スターシップ・トゥルーパーズ』などのSF作品の監督というイメージなのだが、世間的にはシャロン・ストーンを一気にスターダムに押し上げた『氷の微笑』など、エロティシズムとバイオレンスに満ちた作品の監督としての方が名高いかもしれない。
 本作では、先に書いたように、上半身が裸のヒロインを糞尿まみれにするシーンはあるものの、全体的にエロティックな場面は少な目だ。いや、女性二人が裸になる(というかオッパイ出し)シーンは結構あるが、バーホーベン作品にしては不思議といやらしくなく、エロティシズムを(私はあまり)感じない画作りであって、これも戦争という題材のもつマジックかなと思った次第。

 ナチス・ドイツへのレジスタンスを描いた作品として、傑作『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』の趣きを期待していた人には受けないかもしれないが、戦時下の人間の愚かさを描く反戦映画と、謎を追うスリラーとしての娯楽映画とをうまく融合した作品として、個人的にはバーホーベン監督の久しぶりのヒット作だと思う。

ブラックブック』 BLACK BOOK

【製作年】2006年、オランダ=ドイツ=イギリス=ベルギー
【配給】ハピネット・ピクチャーズ
【監督・脚本】ポール・バーホーベン
【原案・脚本】ジェラルド・ソエトマン
【撮影】カール・ウォルター・リンデンローブ、acs、bvk
【音楽】アン・ダドリー
【出演】カリス・ファン・ハウテン(ラヘル/エリス)、セバスチャン・コッホ(ムンツェ)、トム・ホフマン(ハンス)、ハリナ・ライン(ロニー)、ワルデマー・コブス(フランケン)、デレク・デ・リント(カイパース) ほか

公式サイト
http://www.blackbook.jp/

公式ブログ~バーホーベンはお好き~
http://blogs.yahoo.co.jp/blackbook1944/

単行本

CDサントラ盤
 
ネコのミヌース
(DVD)






最終更新日  2007.04.11 09:32:34
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