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分太郎の映画日記

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2007.05.23
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 『プロデューサーズ』で軍服姿の変人戯曲家を快(怪)演していたウィル・フェレルが、“作家”に人生を“操られ”てしまう悲哀を演じた、ちょっとユーモラスなヒューマンドラマ。
 ワーナーマイカル・シネマズ板橋にて鑑賞。

 『主人公は僕だった』 評価:☆☆

 そもそもの設定――作家の書く物語の通りに人生を送っていた主人公に、その物語自体が聞こえてしまうことから起きるドタバタ劇――自体はたいへんに魅力的だが、脚本がそれを活かしきれていなかったように思う。

 とくに後半、主人公と作家が同じ街の同じ時間軸に存在していて、執筆中といういわゆる“メタ構造”が作り出す“ややこしさ”は、ある意味、タイムトラベルものに似ていて(とくに近い過去に戻った場合)、かなり緊密な構成が要求されるはずだが、そこがかなりいい加減な感じだ。

 象徴的なのが、後半に作家の所にかかってくる主人公からの電話。
 この段階で、それまではたぶん小説中には登場していなかった作家自身が、物語中に登場することになったはずである。その意図はよく分からないが、3度も電話をかけさせて試すところを観ると、作家の登場はほぼ確実だろう。
 しかし、そうすると、それ以降の小説の展開において、作家は自分自身の行動・考えも書き込まなければならないはずだが、そのような(メタ構造になっている)描写はまったくない。あくまでも作家は、神の存在としてその後の主人公の人生も描いている(ようにしか映画では見えない)。
 これはものすごく不自然だ。
 なので、ラストの改変もまったく感動的ではなくなってしまっている。

 もう一つ、主人公が死ぬことで大傑作になるという会話が交わされるが、端々に描かれている小説の筋を追う限りは、どう考えてもそのようには思えないんだよな。
 決まり切った生活を送る国税庁の職員が、ケーキ職人の女性と恋人になり、そして子ども助けるために死ぬ、というだけの話でしょう。なんで大傑作なのか、さっぱり分からん。
 映画製作者たちは、世に数多存在する小説を読んだことはまったくないのだろうか?

 とくにメタ構造な話は、筒井康隆をはじめ、(日本の)SF作家やミステリ作家で得意としている人は結構いるので、それらの翻訳本(があるとすればだが)を是非とも読ませてみたいなぁ。

 設定上の不自然さに気づいたスタッフもいるだろうが、まぁ船頭多くして……のパターンで結局、どうにもならなかったんだろうな。

 そういう意味では、徹底的にコメディにしてしまって、不自然さを吹き飛ばすような爆笑の渦に包ませてしまった方が良かったのではないか。突っ込み所を突っ込み所として昇華するには、笑いが一番である。

 もう一つ、映画の冒頭は「これはハロルド・クリックと、彼の腕時計の物語だ」とのナレーションで始まり、また作家の書いている小説のタイトルに「腕時計」とある。その割には、そこで描かれる主人公の人生と映画の展開に(ラストを除き)腕時計がほとんどまったく関わってくることはない。所々に光らせたりしてはいるが、(ラストを除いて)「腕時計の物語」と呼べるようなことは何もない。
 そもそもラストの使い方も、改変したからそうなったのであって、作家がはじめにどのように考えていたのか、まったく分からない。

【追記】コメント欄で 仙道勇人さん にご指摘いただきましたが、「(腕時計のように規則正しい)ハロルド・クリックの物語」というのが、たぶん正しい解釈だと思います。仙道さん、ありがとうございます。ただ、上記は鑑賞直後に私が思ったことなので、自戒もこめて記述はそのままに、追記する形にしました。


 ということで、理屈好きな人やタイムパラドックスものが好きな人には、まったくお薦めできない映画だと思う。
 恋愛映画としては、まぁそこそこかな。


【あらすじ】(goo映画より転載
 平凡で面白みのない男、ハロルド。国税庁の会計検査官である彼は、過去12年間、毎日決まりきった生活を送っている。しかしある朝、ハロルドの頭の中に、彼の行動を文学的な表現で語る女性の声が割り込んできた。それからというもの、その声はハロルドの頭にたびたび響くようになる。彼女によれば彼はどうも小説の主人公のようで、しかも彼に死が近づいていることもほのめかしていた。それから自分の運命を変えようとするハロルドの奮闘が始まった。


主人公は僕だった』 Stranger Than Fiction

【製作年】2006年、アメリカ
【提供】コロンビア・ピクチャーズ、マンデイト・ピクチャーズ
【製作】スリー・ストレンジ・エンジェルズ
【配給】ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【監督】マーク・フォースター
【脚本】ザック・ヘルム
【撮影】ロベルト・シェイファー ASC
【音楽】ブリット・ダニエル
【出演】ウィル・フェレル(国税庁職員:ハロルド・クリック)、マギー・ギレンホール(ケーキ職人:アナ・パスカル)、ダスティン・ホフマン(ヒルバート教授)、エマ・トンプソン(作家:カレン・アイフル)、クイーン・ラティファ(作家の助手:ペニー・エッシャー)、トム・ハルス(国税庁のカウンセラー)、リンダ・ハント(精神科医)、トニー・ヘイル(ハロルドの同僚:デイヴ) ほか

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/strangerthanfiction/





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最終更新日  2007.05.23 17:47:19
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腕時計について   仙道勇人 さん
TBありがとうございました。
ご指摘の腕時計についてですが、この作品における「腕時計」は、物語の展開を左右する小道具ではなくて、ハロルド・クリックの規則正しい生活を象徴するものです。
つまり、「腕時計の物語」ではなくて、「(腕時計のように規則正しい)ハロルド・クリックの物語」なわけです。
最後にああいう言及があるのも、ハロルドの変容を象徴的に示唆したものと思われます。
かなりテクニカルな脚本なのですが、ラストに無理矢理感があるのは否めないですよね。 (2007.05.23 18:31:05)

Re:腕時計について   es1-Bunbun さん
仙道勇人さん
コメントありがとうございました。

> この作品における「腕時計」は、物語の展開を左右する小道具ではなくて、ハロルド・クリックの規則正しい生活を象徴するものです。
> つまり、「腕時計の物語」ではなくて、「(腕時計のように規則正しい)ハロルド・クリックの物語」なわけです。

あ、なるほど。言われてみればそうですね。構成の方ばかり気になって、そういうことに思い至りませんでした。ご指摘ありがとうございます。本文にも中の形で入れておきます。

今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2007.05.24 13:19:22)

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