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分太郎の映画日記

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2007.06.18
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 私の大好きな川島雄三監督作品。長い間、みたいみたいと思っていながら機会を逸していて(今年のラピュタ阿佐ヶ谷での「芦川いずみ特集」でも見損ねた)、ようやく鑑賞することができたた。
 東京・京橋にある東京国立近代美術館 フィルムセンターで開催中の「映画監督 川島雄三」 にて鑑賞。

 『東京マダムと大阪夫人』 評価:☆☆☆☆☆

 タイトル通り、隣り合う二人の夫人がことある毎に張り合うという、ある種たわいのないコメディなのだが、これが大変な傑作。

 川島監督は、この映画を撮った翌々年、古巣の松竹から日活へと移ってしまう。時を同じくして、三橋達也らの出演者も日活に移籍するので、今日から見ると松竹と日活の合作映画のようだ。

 映画の成功は、まずはそのセットに追うところが大きいだろう。
 飛び越えられるような境の低い柵、境にあって共用される井戸、隣の家と重なる窓枠など、両家にかかわる事もそうだし、縁側やちょっとした広さの庭など、このセットを舞台に使うだけで傑作が撮れるように感じる(と思うのは素人の浅はかさだが)。

 そして、上手く練られた脚本に、おさえ気味の演出が合わさって、極上のコメディになったと思う。
 話的には、単に二人の夫人の張り合いということだけでなく、そこに専務の娘と、ご近所でリーダーシップを発揮する人事課長の奥さんを絡め、群像劇としてまとめているところが秀逸だ。
 映画の尺的にも過不足ない。

 電気洗濯機の購入を競うエピソードがあるが、電化製品の購入が家庭のステータスだった時代を端的に表しているようだ。電気冷蔵庫は高くてまだ手が出ないとのセリフもあるが、それが当時(敗戦後8年)の一般的な住居環境か。
 
 話の展開上、男性陣は八郎役の高橋貞治(と父親役の坂本武)を除くとやや影が薄いが、これもたぶん当時の世相をうまく反映しているのだろう。

 女優陣では、中心となる月丘夢路と水原真知子の演技が良いが、専務の娘役の北原三枝と人事課長夫人役の丹下キヨ子の二人がインパクト大。ラストでちょこっとだけ登場する高橋豊子も強烈だ。
 芦川いづみは本作が映画初出演。可憐は可憐だったが、新人オーラ全開で、演技としてはまだまだだったかな。

 コメディ映画が好きな人は、機会があれば是非とも一見をお薦め。


【あらすじ】(ネタバレあり)
 東京・郊外にある、通称“あひるヶ丘”の社員住宅。人事課長の奥さんを中心に、今日も近所のご婦人方が井戸端会議に余念がない。
 伊東光雄の妻・美枝子は江戸の下町・老舗の傘屋の娘、隣に住む西川隆吉の妻・房江は大阪・船場育ち。二人の亭主は会社の同じ課の同輩であることもあり、美枝子と房江は何かと張合う仲であった。房江は隣りに先駆けて電気洗濯機が届いたことでちょっぴり自慢気だったが、数日遅れて美枝子も電気洗濯機を購入、また、夫のアメリカ赴任をめぐって鞘当てあったりする。
 ある日、セスナなどの操縦士である房江の弟・八郎が訪れてきて、そのまま居候となった。時を同じくして美枝子の妹・康子も、番頭との結婚を無理強いする父親から逃れて、伊東家にころがり込んできた。豪放磊落な八郎と内気な康子は、次第に惹かれあうようになる。
 近所に住む会社の星島専務の令嬢・百々子は、ある時、その高慢の鼻を八郎にへし祈られたことから、却って八郎を好きになってしまった。房江は夫の出世のためにも八郎と百々子の結婚を画策しはじめる。一方の美枝子も、妹の幸せのためにと動き始める。
 ある時、八郎に百々子との結婚を承諾させようと、大阪に出張した弟を追って房江は実家に戻る。すると、そこにはすでに家族と親しくなった百々子がいた。房江の西下を聞いて、美枝子も自分が大阪へ出かけようとするが、折良く、夫が大阪出張になる。母親の必ず説得するからとの言葉に意気揚々と引き上げてきた房江は、その足で専務のお宅へ伺い、うまくいったことを報告する。一方、大阪で八郎と酒を酌み交わした光雄は、八郎の様子から彼が康子に気があると確信するが、東京に戻ってみると、あひるヶ丘は、八郎と百々子の結婚話で持ちきりだった。康子はその噂を聞いて、父親の待つ実家へ戻ってしまう。
 しかし、帰京した八郎は姉の専断にかんかんになって怒り、康子が好きだったと宣言する。が、時すでに遅し。美枝子は喜ぶが、実家へ戻っても、父親に邪魔されて妹にはあわせてもらえず、そうこうするうちに八郎はアメリカへ1年間、出張に出かけることになった。八郎の宣言で失恋した百々子は、康子の実情を知ると美枝子の実家に乗り込み、康子を連れ出し、出発間際わの飛行場へと駆けつける。父親も、妹がどれだけ父のことを思っていたかとの美枝子の言葉に、二人の中を認めるのだった。
 そして、今日もアヒルヶ丘では、ご婦人たちの話し声がガーガーと喧しく鳴り響くのであった。


『東京マダムと大阪夫人』

【製作年】1953年、日本
【製作】松竹大船
【配給】松竹
【監督】川島雄三
【原作】藤沢恒夫
【脚本】富田義朗
【撮影】高村倉太郎
【音楽】木下忠司
【出演】月丘夢路(伊東美枝子)、三橋達也(美枝子の夫:光雄)、芦川いづみ(美枝子の妹:康子)、坂本武(美枝子の父:丹下忠一)、水原真知子(西川房江)、大坂志郎(房江の夫:隆吉)、高橋貞二(房江の弟:田村八郎)、北原三枝(専務の娘:星島百々子)、滝川美津枝(専務の妻)、多々良純(秋元人事課長)、丹下キヨ子(秋元夫人)、高橋豊子(ラストに越してきた春本夫人) ほか


『川島雄三
乱調の美学』

自著
『花に嵐の
映画もあるぞ』

藤本義一著
『川島雄三、サヨナラ
だけが人生だ』





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最終更新日  2007.06.18 17:39:00
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