ギリシアが借金を踏み倒したら、どんな阿鼻叫喚が待っているのか?
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経済的破綻でこんめいがつづくギリシアですが、他人事ではありません。日本の借金時計もまわりつづけています。
国は借金で破綻してもおかしくないのですが、不安を感じた国民はタンス預金でお金を使わなかったために、国民のタンス預金で破綻していない不思議な国が日本なんです。
IMFは日本が破綻した場合どうするのかという筋書きをすでにもう作っています。
年金支払いをしない。
公務員の退職金を支払わないなどを始め、それは悲惨なものです。
先日ギリシアがIMFに借金約620億円を返すことはできない、しかしIMFのいう通り緊縮財政で行くことに国民投票の結果、反対という意見であった。
日本が貸したサムライ債 117億円は律儀にも全額返金してくれたのだった。
ユーロ圏脱退か?ともおもったが、ギリシア自体もユーロ圏脱退は考えていないみたいだし、ドイツなど、他の国もギリシアの脱退を引き止めるだろう。
最近はドイツに対して第二次大戦のナチス軍による大量虐殺の賠償責任を支払えと韓国のような戦略に出ている。
まさに窮鼠ネコを噛むである。
何をしでかすかわからない。
また、ロシアにとってもギリシアは重要な拠点である。
「ギリシャが欧州連合(EU)を離脱すれば、ギリシャからの食糧輸入禁止は解除するかもしれない」。1月16日ベルリンで開催された「ギリシャ製品見本市」を訪れたニコライ・フョードロフ・ロシア農相の発言をタス通信が報じた。
さらに複数の英国メディアによると、ロシアのギリシャ大使マズロフ氏が26日に早速チプラス新首相を訪問。ギリシャとEU・国際通貨基金(IMF)との交渉が決裂すればロシアが支援するか、との記者質問に「それは交渉次第」と答えたと報じている。
また、昨年9月には急進左派連合の外交スポークスマンが欧米のロシア制裁を「新植民地主義の過食症」と揶揄(やゆ)している。
というニュースが舞い込んできている。
ギリシアの経済不安にほくそ笑んでるのは中国ばかりではなく、ロシアもバルカン半島最南部という地政学的要衝の情勢を戦略的に重視していることがうかがえる。
これからのギリシアはどこに向かっていくのだろう。目が離せない。
首相がテレビ番組に出演し「国際通貨基金への債務返済は不可能」と明言するなど、混迷が続くギリシア財政破綻危機問題。このままギリシアはユーロ離脱となるのでしょうか。実力派コンサルタントの吉田繁治さんが無料メルマガ『ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則』の中で、各国の思惑や力関係などを交えてわかりやすく解説しています。
ギリシアのユーロ離脱とは、どうなることか
ギリシアの銀行は、チプラス首相の指示で、7月5日の国民投票の結果が出るまで、預金の流出を防ぐため、営業を停止します。
ATMには、数十人の列ができています。1日に60ユーロ(8,100円)の生活費やしか引き出せません。しかも10台のうち4台くらいのATMには、現金が入っていない。
日本で起これば、国中が阿鼻叫喚のパニックでしょうね。
6か月で1,000億ユーロ(13.5兆円)が、流出しています。預金が数十%も減れば、銀行の現金は完全に枯渇します。自分の預金か8,100円の生活費分しか引き出せないという事態です。
ユーロのELA制度(緊急流動性支援)
ユーロの中央銀行ECB(本部はドイツのフランクフルト)は、加盟18か国の銀行に対し、大きな損失や預金引き出しで流動性(現金)が不足したとき、緊急に貸し付ける制度(ELA)を敷いています。
ECBは、ギリシアの銀行に、不足する$150億ユーロ(2兆円)を貸しつけて来ました。今後この貸付をどうするのか? ここが、ユーロ離脱かどうかにつながることです。
ギリシアが6月30日のIMFへの借り入れの返済を行わず、デフォルトしても、ユーロは、このELA制度は、今のところは続ける予定という。(注)支払いは行われず、デフォルトしました(さっきのニュース)。
ユーロが、ELA(緊急流動性支援)を停止した場合どうなるか?
もともと現金が不足しているギリシアの銀行は、預金引き出しに応じることができない。預金が引き出せないと、世帯は生活ができず、企業は商品販売、仕入れ、給料の支払いができません。
経済活動が停止してしまいます。クレジットカードも使えなくなります。銀行預金は、世帯と企業の決済口座になっているからです。
そうなると困るので、ユーロは、ELA制度(緊急流動性支援)で、ギリシアの銀行に、不足するユーロを貸し付けてきました。
このELAが停止したとき、最後の手段は、「政府紙幣の新ドラクマ」の発行です。「1ユーロ=1新ドラクマ」とする。この時が、ギリシアのユーロ離脱です。
「返済不能=デフォルト=ユーロ離脱」ではない。デフォルトは、すでに、事実上決定しています。
企業の場合は、手形と借入れの決済ができないと破産し、その瞬間に、銀行取引停止になって、銀行口座を通じる商取引ができなくなります。これが、事業ができなくなる倒産です。
しかし、国家は、デフォルトの後も、年金、公務員給料支払いという行政は、遅配や削減があっても持続します。
国家の、公共事業が停止するのは、その国の中央銀行から、政府預金を引き出せなくなったときです。税金は、中央銀行の中の、政府預金になっています。
このため重要なのは、ELAを、ドイツ(メルケル首相)がどうするかです。現在のところ、ドイツは、ギリシアがデフォルトしてもELA(緊急流動性支援)は継続すると言っています。つまり、ギリシアの、中央銀行に対しては、貸付を続けるということです。
「ユーロ離脱=新ドラクマの発行」の想定
ELA(緊急流動性支援)が停止されたときが、ギリシアのユーロ離脱であり、そのときは、マネーがないというわけにはゆかない。最後の手段として、政府紙幣(呼称は新ドラクマ)が発行されます。
「1ユーロ=1ドラクマ」として発行された政府紙幣は、短期間で「1ユーロ=3ドラクマ」には暴落するでしょう。これによって起こるのは以下です。
政府債務
ギリシアの国債残高は、2015年現在3160億ユーロ(43兆円)です。1ユーロ=1ドラクマで交換されると、3,160億ドラクマです。
ドラクマが1/3になると、3,160億ドラクマは、実質では14兆円に下がります。ギリシアの政府債務は、事実上、1/3になったことになります。
対外債務
ギリシアの対外債務は、GDP($1,829:2015年)の2.5倍あり、$4,572億(55兆円)です。ECB、IMF、海外、EFSC(欧州安定化機構)からから借りています。日本の銀行も、金額は少ないですが、貸し付けがあるようです。
この債務は多くがユーロ建てや米ドル建てです。ユーロ建てやドル建ての債務を、ドラクマ建てにすることに、債権者団が応じるかどうか? 応じれば、その後の、確実なドラクマの1/3の低下により、債務の実質額は1/3(18兆円相当)に減額されることになります。
債権者団が、これに応じるかどうか、不明です。応じなければ、対外債務は減りません。
預金額
2008年からの引き出しで大きく減った世帯や企業の預金は、2015年時点の大手銀行分で1,500億ユーロ(20兆円)残っています。
ユーロからドラクマに切り替わると、その後のドラクマの下落により、7兆円くらいの価値に減ります。世帯も企業も2/3の預金(金融資産)を、失うことになります。
給料
給料も、新通貨で支払われますから、ドラクマの下落により実質的に、1/3になります。
月収20万円のマネジャークラスは7万円で、東南アジアの賃金並みになります。10万円の現場労働は3万円なってベトナム並みです。ドイツが工場投資を増やすでしょう。
物価
ユーロからドラクマに変わり、ドラクマが1/3に下落すると、物価や不動産価格はどうなるか?
下がる通貨ドラクマから見れば、1年くらいかけて2倍には上がるでしょう。通貨価値の下落による100%のインフレです。
海外から見た観光料金
ユーロや日本から見た、ギリシアの観光料金は、2/3にくらいに下がると思います。現在は1泊3万円の高級ホテルが2万円です。レストランの料金も2/3でしょう。
ユーロを離脱し新ドラクマに変えた場合、以上のことが想定できます。デフォルトの事例は多数ありますが、ユーロのような統一通貨から離脱は、歴史上、はじめての出来事です。何が起こるか、論理的に予想すると、こんな感じになります。
問題は、ギリシアが決して返せない対外債務55兆円の処理
問題は、対外債務です。ユーロやドル建てのままなら、新ドラクマで、対外的には縮小するギリシアの経済に対し、対外債務が3倍に大きくなることです。現在でも払えないのに、3倍になった対外負債をギリシアが払えるわけもない。
破産した企業への、銀行の貸付金と同じです。貸付金は100億円でも、その実質価値は、不動産担保など回収できる30億円などの価値しかない。
ドイツとIMFが中心になる債権者団は、対ギリシア貸付(55兆円)を70%ヘアカットして、17兆円に減らす必要に迫られるでしょう。38兆円の損失が、ドイツ、ドイツの銀行、ECB、IMFなどに生じます。ここが、ギリシアの債務問題の、最終的な、着地点でしょう。
ただしドイツは、こうならないように、ELA(緊急流動性支援)を通じて、ギリシアの銀行への、不足するユーロの融資を、続ける予定と言っています。
ギリシアのチプラス首相は、損をしたくないドイツの思惑を見透かすように、「ギリシアが破産し、ユーロを抜けたとき困るのは、債権者だろう」という発言をしています。
古い諺(ことわざ)に、「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ」とありますが、追い詰められたギリシアが、大きなドイツに反逆しています。
ロシアのプーチン大統領は、「数千億円の負債なら困るのは債務者だ。しかし、10兆円となると困るのは債権者だ。心配いらない。がんばれ」と、左派のチプラス首相を励ましています。
7月5日の国民投票
「財政の緊縮策」の受け入れか拒否かを決めるための国民投票は、7月5日です。VAT(付加価値税)の引き上げ、年金のカット、公務員の削減が含まれます。緊縮策は、国民の生活レベルを下げます。
緊縮策を受け入れない場合、ギリシアへの資金援助はなくなり、支払期限が来る債務から順にデフォルトしてゆきます。デフォルトは、貸し手にとっては返済期限の延期と同じです。追い貸することとも、同じです。(注)ただし、ギリシアの規定では、国民投票の結果は、法的な拘束力をもちません。政権の支持率のようなものにすぎないのです。しかし、世界は、この結果を無視はできません。
ギリシア政府は、6月30日の対IMFのようなデフォルトを続けるつもりに見えます。相手の多くは、現在、ユーロの公的な金融機関になっているからです。
企業と国家では、デフォルトの結果が違う
返済ができないため企業が倒産すれば、仕入もできず給料も払えず社員も去って、残っていた資産は債権者に接収され、社員も去って、跡形なく消えます。しかしギリシアという国家は、戦争で占領されない限り、なくなりません。
ギリシアの意思では、おそらくユーロからは離脱しない。一方、ユーロ側(債権国)には、ギリシアを、強制的に離脱させる手段はないのです。
非現実に仮定的なことですが、韓国が自国通貨として円を採用した場合、日本には拒絶する手段がない。日本が万一、米ドルを自国通貨とした場合、米国にもやめさせる手段はありません。
ユーロ離脱
事実上のユーロ離脱が決まるのは、ギリシア政府が、新ドラクマを発行し、国民がそれを受けいれ、国内の買い物で流通したときです。
しかし、ドイツは、ユーロ離脱(新ドラクマ発行)にまでは至らせないために、ギリシアの銀行への、ECBからのELA(緊急流動性支援)は続ける予定です。
VAT(付加価値税)の引き上げ、年金のカット、公務員の削減という財政緊縮策を、ギリシア国民が受け入れるかどうか。ギリシア国民の70%は、ユーロからは絶対に離脱すべきではないとしています。
ドラクマに戻れば、ユーロよりはるかに弱い通貨ドラクマで払われる実質の賃金は、1/2や1/3に下がって、預金も年金も、ドラクマになって上がる物価に対し実質的には減って、貧困になるからです。
(注)実質=名目金額-物価の上昇
このため、ユーロ離脱にもつながる財政緊縮策を受け入れる可能性もあります。現在、各国の機関が、投票結果を予想していますが、結論は50:50、つまり、「わからない」ということです。
[参照] 中国 上海総合指数 アジア株価 リアルタイムチャート
image by: Shutterstock
『ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則』
引用元
http://www.mag2.com/p/news/19465/4
byよっしーMJ