カテゴリ:(小説)バルト×リーレウ物語
香典とか引き物とか、田畑の整理とかまだまだ忙しい平丘家ですが、
かなこ気をとりなおして、バルト×リーレウ物語です。 ************************* 小鳥のさえずりが、まだ肌寒い空気を伝って室内に入り込んでくる。 カーテンを越え、差す緩く白い光を浴びて、リーレウは目覚めると共に、 いつになく冷や汗をかく羽目になった。 昨日先に寝てしまった報いだというのだろうか、 リーレウの喉元には切っ先を下に向けた 刃渡り15センチの包丁のような刃物がぶら下がっていた。 それはロープで繋がれ天井を通って机の上に置かれた、 謎の機械の歯車と連結していたのだった。 一瞬にして、昨晩出会った怪しげな男と同室だった事を思い出したリーレウは なるべく体が浮かないように、慎重に横に移動し、起きあがった。 新しい朝だというのになんて陰鬱な気分なんだ、と心で毒つきながら 仕掛けたであろうバルトの姿を探した。 寝返り打ってなくて良かった。自分の首をひと撫でして、 何処も切れていない事を確認すると少し気分が落ちついた。 「おや、おはようございます。もう起きてしまわれたんですか」 バルトはすでに黒マントを付けサングラスをかけていた。 彼は黒い布で手を拭きながら、部屋に戻ってきたところだった。 共同トイレかなんかに行っていたのだろう。 「もう少し寝ていてくださらないと、つまらないじゃないですか」 バルトは嫌な微笑みを浮かべながら、おはようと付け加えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/12/08 08:55:03 AM
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