カテゴリ:(小説)バルト×リーレウ物語
バルトがそのいつものなめし革のマントにごそごそと手を突っ込み、
鍵の束のような、いくつもの金属棒の束を取り出した時、 青年の足音は扉の寸前までたどり着いてた。 「バルト君!」 リーレウが急かすように名を呼ぶ。 「まあまあ」 バルトは至って平静に笑みを浮かべながら、先の少し曲がった 細い金属棒を一本選ぶとさっと南京錠に入れ廻した。 カチリと小気味いい音がして鍵が開く。 リーレウが慌てて、腰をかがめて狭い籠の扉をくぐり頭を上げると、 ドアが勢いよく開けられ、壁叩きつけられて壊れたかと思うほど大きな音を立てた。 「ジェームス!!」 床を踏み抜かんばかりに、荒々しく登場したのはリーレウを閉じこめた青年。 口に何か入っているようで、不明瞭な発音でしゃべる。 まだ夕飯の途中だったのがよく分かる。 「おのれ、何ものだっ!!」 目をつり上げて青年がバルトに詰め寄ろうとする。 バルトはひらりとマントの裾を翻し、リーレウを包むように抱え込む。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/04/10 10:12:06 PM
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