「それでもボクはやっていない」
昨日は周防監督の11年ぶりの作品「それでもボクはやっていない」を観てきました。正月に夏樹静子さんの「量刑」という本を読んだし、裁判制度に関してある程度知識をもっていましたので、裁判用語とかに関しては割とすんなり頭に入ってきました。ただ、知識がないと、ちょっと何言ってるか分かんない部分もカナリありますが、解説もあります(細かくはないですが)。ただ、本や法律の勉強だけではあまり描かれない、被疑者の勾留中の留置場の様子や、警察から検察までの護送のシーンなどがリアルで、興味深く観られました。この作品は、痴漢冤罪事件を題材にしていると言われてるけど、私個人としては、「本当にそうなのかなぁ?」と思いました。確かに、主役である被告人は一貫して否認しているのですが、痴漢をやってないという確実な映像はないのです。多分、この作品をみた多くの人は、裁判官の判断に対して疑問を持っていると思います。だけど、私はこの作品の裁判官の判断は、正しいとも間違ってるとも思いません。書類や、一つ一つの事実を細かく検証していけば、あのような判断も「アリ」だと思うのです。最近は痴漢などの女性が被害に会う事件に対しては、裁判は厳しいけど、「痴漢事件くらい」という、警察の捜査のずさんさが見え隠れするという、矛盾もあるのかもしれません。ただ、やはり「疑わしきは被告人の利益に」という、グレーなら白、という法哲学は守られていないのです。日本の裁判制度ではグレーなら、黒なのです。この作品は、被告人の決定的な映像がないだけに、私たち観客にも問題を投じている作品なのかもしれません。あと、今回、被害者が中学生という設定でしたが、コレが30代のOLや主婦だったら、裁判官の判断はどうなっていたんだろう??、変わったかもしれない・・・とも考えました。男性の皆さん、痴漢と間違えられるような怪しい動きは満員電車の中では禁物ですよ!