『黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語』
【著者】石田敏徳 【発行】講談社香港で「黄金旅程」と呼ばれた彼に、初めて会ったのはどこだっただろう。おそらく競馬場ではなかったかと思うのですが、印象に残っているのは種牡馬になってから、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションの放牧地で偉そうにあたりを睥睨している姿です。ビッグレッドファームでは、きれいな顔をしているのに、急に目をぎらつかせて威嚇してきたこともありました。どう考えても、まとっている気配が「猛獣」なんです。ステイゴールドという馬は。2014年度JRA賞馬事文化賞がこの本に決まったと聞いて、さっそく買って読んでみました。この本は、ステイゴールド自身のことというよりは、彼をとりまく人と環境の物語です。わたしはつねづね、馬の運命は出会った人に左右されると思っているのですが、ステイゴールドの場合はもしかしたら、「どんな人に出会うか」という運命さえも、彼自身の強運によって覆してきたのではないかと思わせられました。それがきっと、「人智を越えた」黄金旅程の、持って生まれたものなんでしょうね。