『誰も書かなかった武豊 決断』
【著者】島田明宏 【発行】徳間書店夫(当時は彼氏)の影響で競馬を見はじめて、一番最初に好きになった馬の名前は、シーキングザパール。それは美人な女の子でした。そして、彼女の背中にいつもまたがっていたのは、競馬を知る前から名前だけは知っていた、武豊というジョッキー。そのコンビは、フランスに行ってG1まで制しました。武豊という存在はあまりにも強すぎて、もしかしたらこの人がいると競馬がおもしろくないんじゃないかとさえ思わせるほど。実際に、「またユタカか、おもしろくねえ」なんてつぶやきは、当時の競馬場やウインズではよく聞かれましたよね。その一方で、武豊のいない競馬は想像もつかなかったし、騎乗フォームは美しくて、恐ろしかった。ディープインパクトを駆って3コーナーを上がってくる姿に、ぞくっとしたものです。そして、この人はつねに競馬界全体のことを考えて行動し、発言しているだろうなと思わせる、頭の良さ。美学というようなものを持った人だと思っていました。「武豊が好き」というと、競馬初心者っぽくて恥ずかしい、と思いながらも、やっぱりこの人には畏敬の念を抱かずにはいられなかった。毎日杯で落馬したことを知ったのはばんえい記念前日の帯広で、いてもたってもいられないような気持ちになった。サダムパテックで久しぶりにG1を勝ったときには、馬券は外したけどそんなのどうでも良いほどうれしかった。キズナで勝ったダービーは泣いた。この本で語られる、武豊の「決断」。わたしのなかの武豊という存在に、ぴしっとはまったような気がしました。