三校 (三回目の校正) のゲラを印刷所の担当者に責了 (あるいは校了) で渡してから数日すると、青焼きが出てきます。青焼きとはどういうものなのかについては以前に記しましたのでここでは省きますが、この確認作業が、本文に手を入れられる最後の機会ということになります。
まず最初に、三校のゲラを左側に、青焼きを右側に置いて、三校で入れた赤字が漏れなく直っているかを1ページずつ確認していきます。この作業で大切なことは、
1. 赤字が直っているか
2. 図やイラストが間違いなく、そして図の周辺部も欠けることなく入っているか
3. 各ページの頭とお尻の文字に、三校とのズレがないか
4. ゴミや汚れがないか (フィルム上にゴミがあると、それも青く現れるのでわかります)
をチェックすることにあります。
編集者は、1、2、4については注意を払って確認するのですが、3についてはうっかりしがちです。というのも、その場所は特に赤字が入っているわけではないからです。赤字だけを確認すればよいだろうと つい思いがちなのですが、各ページの頭とお尻の文字にズレがないかどうかの確認を忘れると、思わぬことを見落としてしまうことがあります。
それは、ページの頭の文字、お尻の文字にズレがあるということは、そのページ内の文章が、たとえ数文字といえどもズレているということを意味していますから、例えば、次のようなことが起こっている可能性もあるのです。
A. ○○・・・, の ,だけ、 あるいは 「△△・・・」 の 」 だけが次の行にズレている
B. 年号などの数字が2行にまたがっている
C. 索引事項として拾ったものが、三校とは違うページにズレている
などなど・・・。
ズレなど起こるはずがないだろうと思われる方もいるかもしれませんが、文章に直しがあった場合、それが例えば5文字ほど減る (増える) ような直しであったとすると、その5文字分、当然文章はズレてきます。そのため、上のAやBのようなことが段落内のどこかで起こっている可能性もあります。
また、そのズレが、もしページをまたがった段落内にあると、Cのようなことが起こってしまっている可能性もあります。ということもあって、そのページの頭とお尻の文字を押さえて、全体にズレが生じていないかどうかを確認し、もしズレがあったなら、そのページは念入りにチェックする必要があるのです。
1 ~ 4についての確認作業において、もし赤字を入れなければならない箇所が出てきたら、そこに直接赤字を入れて、そのページの上のところに付箋を貼っておきます。青焼きでの修正はフィルムで直さなければならないこともあって、極力ない方がよいのですが、どうしても直さなければいけないものについては、青焼きを印刷所の担当者に戻すときに1つ1つ確認して、直しをお願いすることになります。そのため、直しの場所をすぐに特定できるように付箋を貼っておくことが大切です。
こうして青焼きの確認を終え、印刷所の担当者に戻すと、これで長かった編集 (校正) 作業はすべて終了となり、後は、印刷 ・製本 ・納本という一連の作業を待つことになるのです。