一般に編集者は、何冊もの本の編集を同時平行で進めています。 そのため、進行管理ノートのようなものを作って、 どの本がどこまで作業が進んでいるのかをすぐに把握できるようにしている編集者が多いのではないかと思います。
いまの私は、同時に5冊くらいまでなら何とか頭の中で進行管理はできるので普段はノートをつけていないのですが、さすがにこれを超えたときにはつけるようにしています。 もちろん、新人の頃の私にはとてもそんな余裕などなくて、1冊の本の編集を任されたときにも、先輩に教えられるがままにノートをつけていました。
ノートをつけることで、校正刷 (ゲラとも言います) がいま誰の手に渡っているのか (手元にあるのか、著者のところか、それとも印刷所か) がすぐに把握できるということ、作業がどこまで進んでいるのかが一目でわかるということもあって、新人にとっては1冊の本ができるまでの流れを覚えるのにも役立ちます。
と言いつつも、新人の頃にノートをつけずに進めてしまったことがあって、任されたわずか2冊の本の校正でも、互いの付物 (つきもの、と読み、本文以外の部分を指します) の校正がどこまで進んでいたかわからなくなってしまったり、などという失敗を何度かしてしまいました。 著者に 「索引の初校は先生のお手元にあるんですよね?」 なんて聞くのも恥ずかしくて、このときは、本当に冷や汗ものでした。
編集者には、同時平行で進んでいる膨大な作業の一つ一つについて、その進行管理がきちんとできることが、とても大切だということが言えると思います。