一般に編集者と言えば、出版社や編集プロダクションに勤務する編集者、あるいは特定の出版社には属さないフリーの編集者がいます。 この中で、フリーの編集者の方を除くと、多くの編集者は会社に属しているわけで、言うまでもなく、編集者も会社員 (あるいは契約社員) ということになります。
私自身も出版社の一社員であるわけですが、個人的には、会社に就職したというよりも、編集者という “職” に “就いた” という意味での “就職” という意識を持っています。 もちろん、だからと言って、 組織の一員として自分に課せられた役割を軽く見ているということではありません。 ただ、編集者という職種は、 “職に就く” という意味合いが高いのではないか、という感じはしています。
ところで、 いま電子書籍をめぐる一つの流れとして、 印刷会社や出版社が中抜きされ、 書き手と (フリーの) 編集者が手を組んで、電子書籍の販売を請け負う会社と直接に契約を結ぶような形が作られ始めています。 ここでの編集者の役割は著者の原稿の内容を商品と言えるレベルに高めることにあって、従来の編集者の役割と大きく異なるというわけではありません。
しかし今後は、従来の編集者の仕事をこなせる力を持ちながら、電子書籍の特性をよく理解している編集者は、これまでのフリーの編集者とはまた少し違った、“電子書籍の編集者” として独立するという新しいスタイルも考えられるのかもしれません。
いずれにしても、これからの時代は、 “与えられた情報を、 アウトプットするスタイルに合わせて適切かつ的確に編集できる職人” がますます求められてくるのではないかと思っています。