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2010.08.16
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カテゴリ:Editor's Life


 今から5年ほど前に、 「結局最後はプリントアウト」 というテーマで、 じっくりと思考を巡らせながらの読解には、 画面を通して直接読むよりも、 それをプリントアウトして読む方が向いている (頭に入りやすい) のかもしれない、というようなことを書いたことがありました。

 パソコンがどのオフィスにも当たり前のように導入された当時、文書の電子化によるペーパーレスの時代がやってきたことが叫ばれ、「これで紙ゴミも減る」 と言われたことがありましたが、実際は、なかなかその通りにはなりませんでした。 それは、人は 「結局最後はプリントアウト」 したものを読んだり、 (文書データの保存だけでなく) プリントアウトしたものも同時に保存する傾向が強かった、というところにあったのでしょう。

 でも、いまの私たちはどうでしょうか。 当時から比べれば、
    必ずプリントアウトして読む、  プリントアウトしたものも同時に保存する 
という行為は減っているのではないかと思います。

 当時は、いま一つ思惑通りには進まなかったペーパーレス (文書の電子化) も、環境や資源に対する企業の意識向上などもあって、それが社員一人一人に徹底 (あるいは、外力として作用) し、浸透してきた感もありますが、それに加えて、一人一人の情報リテラシーの変化もあるのではないかと思います。 (本来であれば、情報リテラシーの “向上” と書きたいところですが、自分も含め、必ずしも皆が “向上している” とは言えないでしょうから、あえて “変化” という表現にしました。)

 私自身は、ペーパーレスに抵抗感がなくなったということと、紙の本ではなく電子書籍でも抵抗感がないということが、何らかの形で関連していて、
   紙に書かれたものを読まなくても抵抗感がない 
   目に見える実体として保存する (棚に並べる) ことに拘らない
ということの背後には、現代人の情報リテラシーの変化も影響しているのではないかと思います。

 そう考えていくと、(もちろん、端末自体の性能の向上もかなり大きな要因だと思っていますが)、電子書籍の登場は別に驚くことではなく、ごく自然な流れであったと言えるのかもしれません。    







Last updated  2010.08.17 01:55:55
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2010.08.08
カテゴリ:Editor's Life


 書店は、編集者にとって、自社の本 (自ら編集を担当した本) を販売してもらう空間であり、また、一読者として本を購入する空間であると同時に、新しい企画の種 (アイディア) を得ることができる情報空間でもあります。

 ネット書店というものが登場し始めてから、これまでの街の書店はリアル書店とも呼ばれるようになったわけですが、よく考えてみると、ネット書店も現実に存在している書店であり、その意味ではどちらもリアル書店であることは確かです。  というわけで、 改めて言うまでもないことですが、  “リアル” というのは、読者が実際に本を手にして選んで購入できる、ということを意味しているのでしょう。

 編集者だけでなく、企画に関わる仕事をしている人であれば、街の書店を訪れ、本棚に並べられた様々な本の背表紙を眺めながらいろいろとアイディアを練る (思索に耽る) ということをしているのではないかと思います。 私も、もちろんその一人であるわけですが、“アイディアを練る”、 “企画のヒントを得る” ということで言えば、その活用度は圧倒的にリアル書店ではないかと思います。

 私の場合について言えば、 ネット書店に並べられた書籍情報を眺めていても、 新しいアイディアはなかなか湧いてきませんが、もちろん、これは人によると思うので、 「自分はリアル書店もネット書店も一緒」 という方もおられるかもしれません。

 なぜネット書店を眺めていてもアイディアが湧かず、リアル書店だとアイディアが湧いてくるのか。 これは、両者の大きな違いは何か、ということを考えることが大切のように思うのですが、私が思うに (自分の勝手な解釈ですいません) 、リアル書店では、お店に入った瞬間から、自分が選択するしないに関わらず、 自分にとって未整理な (混沌とした) 情報が飛び込んでくるのに対し、ネット書店では、自分が選んだカテゴリー (例えば、大きなカテゴリーでは、人文系、ビジネス系、科学系、・・・) の情報ずつしか見ることができない、というところにあるのではないかと思います。

 つまり、リアル書店では、一歩お店に入れば、 “自分にとって未整理な情報が自然に目に飛び込んでくる” のに対し、ネット書店では、“情報が自然に目に飛び込んでくるのではなく、一度振るいにかけられた (自分が選んだ) 情報を目で追いかけて見ることになる” ということが大きな違いであって、何か新しいアイディアを得ることにおいては、前者の “自分にとって未整理な情報が自然に目に飛び込んでくる” という環境 (空間) が大切なのではないかと思います。

 人は混沌とした情報から組み合わせや関連付けを行なうプロセスを通してアイディアが浮かんでくるのだとすれば、 この点が、 「リアル書店だとアイディアが浮かびやすいけれど、 ネット書店だとなかなか浮かばない」 ことの理由の一つなのかなぁとも思うわけですが、新しいアイディアが浮かぶためには、日頃から様々なことに関心を持って情報を眺めることが大切なことは言うまでもありません。

 関心を持って情報を眺めているからこそ、「これとあれを組み合わせるとどうなる? これって、面白くないかな?」などと考えを巡らせることができるわけで、 ただ漠然と情報を眺めていたのでは、 企画のヒントに成り得た情報さえも、目の前をただ素通りしてしまいます。 

 同じ情報やモノを眺めても、人によってそこから新たに掴むこと (発想) ができることが違うのは、その人の中にある引き出しの数と視点、様々な情報への関心の高さにあるのかもしれませんが、人が何か新しいアイディアを得るための場 (空間) として、リアル書店がネット書店よりも秀でているのだとすれば、逆にこの点を活かした工夫をすることで、これまでにないリアル書店のカタチを創ることができるのかもしれません。     








Last updated  2010.08.09 02:15:10
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2010.07.31
カテゴリ:Editor's Life


 編集者になったばかりの頃は、先輩や上司となる編集者が担当している書籍の編集を手伝うことになるわけですが、そうした経験を積んでいく中で、やがて、編集者として独り立ちする(自分の立てた企画の原稿が著者から入稿し、最後まで独りで編集作業を担当する)ときがやってきます。

 一人の編集者が年間に刊行する書籍の数は、編集者としての経験年数や進行している企画の数などによっても異なりますが、 出版社によっては “最低でも一人で年間◯点は刊行すること” ということが言われているところもあると思います。もちろん、会社からノルマのように言われても、こればかりは相手があることですから、なかなか思うように運ばないわけで、だからこそ、著者に対する日々の原稿催促がとても大切になってきます。 ( 「来年は、この本とこの本を刊行しよう」 と、こちらが好き勝手に計画していても、著者を放っておいては、それは叶いません。)

 私自身は、 編集者として独り立ちしてから、 平均すると常に5点くらいの編集作業が同時進行しています。 ただ、ここで言う編集作業は本の刊行予定日が既に決まっていて動いているものなので、 その他に、 著者が書き上げ途中の粗稿を読んでコメントして返すといったものまで含めると、それなりの点数が常に動いています。

 そんなわけで、 (これは編集者としては当たり前のことですが) 編集作業をしながらも原稿催促を並行して行っているので、 “1冊刊行になると次の原稿が入稿する” という流れがずっと続いているような感じです。 (これから編集者になる皆さんも、こんな感じになるんだなぁということを頭に入れておいて頂ければと思います。)

 正直言うと、日々このように数冊の本を並行して進めていて、あれもこれも読まなければならないという状況に陥ると、 「これは (この原稿や校正刷りは) ざっとだけ目を通せばいいかなぁ」 という “楽したい” という気持ちが起こってきてしまいます。 でもこれまで、私がその気持ちを何とか抑えてこれているのは、 「一度でも手を抜いたら、その時点で、編集者として終りである」 と心に強く思っているからです。 この気持ちが、楽な方に行きかけている自分を何とか引き戻して、支えているように思います。  

 こうした気持ちは、別に編集者に限らず、人が生きていく中で誰もが経験することだと思いますが、大変ながらも頑張って進めて、それが達成できたときには、その経験が次への糧になるものです。 ただ、ちょっと残念に思うのは、諺のように 「苦あれば楽あり」 とはならず、「苦過ぎれば、またその先に苦あり」 というのが、実際の編集者の仕事だったりすることです。 

 でも、だからこそ、編集者の仕事はやりがいがあって、面白いのかもしれません。








Last updated  2010.07.31 17:41:41
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2010.07.21
カテゴリ:Editor's Life


 一時は時代を旋風し、街中の至る所で目にしたフリーペーパーも、企業広告の減少や読者離れなどによって、かなりの数が淘汰されてしまった感があります。 単に地元のイベント情報やお店の情報を掲載するのではなく、書店で売られている雑誌と同等レベルのフリーペーパーが登場した当時は、「これだけ読み応えがあって無料?」 と驚いたものですが、フリーを支えていたスポンサー企業の減少が、大きな痛手となっています。

 ところで、将来、雑誌やフリーペーパーのように企業の商品広告が掲載された (商品にリンクした) 電子書籍というものが登場してくる可能性もあるかなぁと思っています (もしかしたら、私が把握していないだけで、すでにあるかもしれません) 。 

 皆さんもよく目にすると思いますが、出版社はこれまで、紙の本の場合には本の最後のページに自社広告 (既刊の本や新刊の情報) を掲載していたわけですが、他社の商品の広告を載せた例はなかったのではないかと思います (本のテーマそのものが、他社の商品を紹介するもの、というものはありますが) 。 
  
 しかし、電子書籍の特性を活かせば (ちょっと安易な例になりますが) 、小説の中で主人公が “〇〇駅前のカフェで一杯のコーヒーを飲む” といったシーンで、本文中の “コーヒー” をクリックすると、その広告が現れる (ホームページが現れる) といったものや、本の適当なページに、その本の読者層にマッチした商品の広告を入れるということも考えられます。

 つまり、出版社側にとっては、“その本のターゲット (主要な読者層) にアピールしたいという商品を持つ企業に対して、広告掲載を促す” ということも可能ではないかと思っています。 紙の本の場合には、(重版の際に差し替えるということは可能であっても) 一度出版するとその後もずっとその形として残っていってしまうということや、著者が苦労して書き上げた作品が広告のオンパレードでは申し訳ない (作品が台無しになってしまう) 、ということもあります。 

 電子書籍でも作品の価値を大切にするということは大前提としてあるわけですが、“読者が作品を読んでいる間、常に端末を介してインターネットに繋がった環境にある” という特殊性を活かし、単に著者の作品を読むだけではなく、新しい読書のカタチを提案するということも考えられるのではないかと思っています。 

 もちろん、上のコーヒーの例ではないですが、本文中でリンクする語句の頻度が多くなると、読者が作品の内容に集中できなくなることも考えられますし、(仮に本のターゲットと商品のターゲットが同じだとしても) 自分の本に見知らぬ商品の広告が現れることに同意できない著者の方も多いと思いますから、こうした仕掛けをするためには著者への了解が必要なことは言うまでもありません。







Last updated  2010.07.22 02:13:46
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2010.07.13
カテゴリ:Editor's Life


 新人の編集者にとって、自分が初めて企画した本の原稿を著者から頂く瞬間ほど嬉しいものはないでしょう。 自分にもそうした経験があったわけですが、 (もちろん、いつまでも新人の頃の思い出に浸っているわけにはいきませんが)次第にその思い出も薄れてしまっていることを感じます。 

 出版社に入社し、 編集者になったばかりの頃というのは、 (至極当たり前のことですが) 自分が企画した本の原稿がないこともあって、先輩や上司の企画した本の編集作業を手伝うプロセスを通して、編集者としての仕事を一から学んでいくことになります。 そうして何冊かの編集作業を経験し、次第に独り立ちができるようになってきます。

 ただそれまでは、常に上の人の指示に従って仕事を進めなくてはならないこともあって、一日も早く独り立ちしたいという先走る気持ちと、(まだまだ独りでは不安な面があるという) 編集者としての自分の力不足に悩む日々が続くこともあると思います (自分もそうでした)。

 そうしたこともあって、自分の企画としての最初の1冊目には、“これまでになかったような何か新しいことをしてみたい” という思いが湧いてくることもあると思います。 でも、これまでのスタイルや手法を自ら経験する (真似る) ことなしに、新しい発想が生まれてくることはないと思います。

  1. まずは、先人たち (先輩や上司、他の編集者) のスタイルや手法を真似てみる。
  2. 一度自分の中で消化してから、それに自分なりの工夫を加えてみる。
  3. その経験を踏まえて、さらに新しいアイディアを加えてみる。
     ・・・
ということを繰り返す中で、次第に編集者としての自分のスタイルも確立してくるのではないかと思います。最初から新しいことを試みたいという前向きな姿勢はとても良いことだと思いますが、 それにはこれまでのスタイルや手法を経験してみる (真似てみる) ことがとても大切だと思います。 多くの人に、そして、多くの場面で取り入れられてきたスタイルや手法というのは、それなりに洗練されているからです。

 また、人は経験を積むほど知らず知らずのうちにそうした経験に縛られて、新しいことをしようという気持ちが薄れてしまうということが言われますが、この点は、自分も含め、ある程度の経験を積んだ人たちが注意しなければならない (そうならないように意識して努めなければならない) ことだと思っています。







Last updated  2010.07.14 02:21:56
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2010.07.07
カテゴリ:Editor's Life


 一般に編集者と言えば、出版社や編集プロダクションに勤務する編集者、あるいは特定の出版社には属さないフリーの編集者がいます。 この中で、フリーの編集者の方を除くと、多くの編集者は会社に属しているわけで、言うまでもなく、編集者も会社員 (あるいは契約社員) ということになります。

 私自身も出版社の一社員であるわけですが、個人的には、会社に就職したというよりも、編集者という “職” に “就いた” という意味での “就職” という意識を持っています。 もちろん、だからと言って、 組織の一員として自分に課せられた役割を軽く見ているということではありません。 ただ、編集者という職種は、 “職に就く” という意味合いが高いのではないか、という感じはしています。

 ところで、 いま電子書籍をめぐる一つの流れとして、 印刷会社や出版社が中抜きされ、 書き手と (フリーの) 編集者が手を組んで、電子書籍の販売を請け負う会社と直接に契約を結ぶような形が作られ始めています。 ここでの編集者の役割は著者の原稿の内容を商品と言えるレベルに高めることにあって、従来の編集者の役割と大きく異なるというわけではありません。 

 しかし今後は、従来の編集者の仕事をこなせる力を持ちながら、電子書籍の特性をよく理解している編集者は、これまでのフリーの編集者とはまた少し違った、“電子書籍の編集者” として独立するという新しいスタイルも考えられるのかもしれません。

 いずれにしても、これからの時代は、 “与えられた情報を、 アウトプットするスタイルに合わせて適切かつ的確に編集できる職人” がますます求められてくるのではないかと思っています。     







Last updated  2010.07.08 02:14:40
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2010.06.30
カテゴリ:Editor's Life


 今週は、いま進めている本のうち、2冊の書名を決めなくてはいけない (最終決定ということではなく、候補を絞り込む) ということで、アレコレと頭を悩ませています。

 本のタイトル (書名) について考えるときには、その本の内容のことはもちろんですが、どんな人たちが、どんなシーンで (どんなふうに) 読むだろうかと、読者の人たちが本を手にして読んでいる様子まで想像したりします。 

 編集者たちがアレコレと考えて付けてきた1冊1冊のタイトルを過去に遡って眺めてみると、本のタイトルも時代を映す鏡の一つであることに気が付きます。  例えば、 いま刊行が相次いでいる電子書籍関連の本のタイトルをこれから数年後に眺めてみると、 「この年に電子書籍が人々の間に広がり始めたんだなぁ~」 ということが掴めるように思います。 

 つまり、過去に刊行された本のタイトルを各年代ごとでスライスしてみると、そこから、その時代に旬であったテーマ (その時代のキーワード) が見えてくるように思います。 また、本のタイトルの付け方の変化 (いまとなっては既に当たり前のようになっていますが、タイトルが文章のように長いものが流行り始めた時代など) も見えてきたり ・・・。

 これとは少し異なる視点かもしれませんが、皆さんも、自分の本棚や床に積み重なった本のタイトルを眺めてみると、その頃に自分が関心を持っていたことや、「そう言えば、この頃はこんなことがテレビや新聞で話題になっていたなぁ~」 なんてことを思い出すのではないかと思います。

 編集者にとっては、過去に刊行された本のタイトルは、まるで宝箱のようなものです。 うまい付け方を見つけて、 その言葉の使い方に学ばされることもありますし、 逆に、 「これはこうした方がよかったのでは?」 なんて感じに、自分なりの考えを引き出すきっかけにもなったりします。

 「時代を映す鏡」 と呼ばれるものは他にもいろいろとありますが、本のタイトルもその一つと言えるのではないかと思います。







Last updated  2010.07.01 01:27:13
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2010.06.23
カテゴリ:Editor's Life


 昨日は仕事の後、 久しぶりに (とは言っても、 まだ修了して3ヶ月しか経っていないのですが) 大学院時代の友人と再会し、とても楽しい時間を過ごすことができました。 

 私が編集者との2足の草鞋を履いていた大学院での2年間で学びたかったことの一つは、ワンソース・マルチユースの考え方や手法でした。 また、当時はiPadなるものが登場するとは思ってもいませんでしたが、それ以前から電子書籍端末がいくつか出てきていたことで、自分なりにこうした分野への関心が高まっていたことや、本とICT (Information and Communication Technology) をうまく融合できないかなぁという漠然とした思いもありました。

 これまで多くの出版社は、 印刷用に組版した最終データ (ワンソース) を、 紙の本へのアウトプットだけに用いてきました。 でもこれからは紙の本だけではなく、それを例えば電子書籍を刊行するためにも利用するという、マルチユースの考え方がとても大切な時代になったと思います。

 iPadやKindleなどの電子書籍端末の登場によって、電子書籍が急速に広まってくることは間違いないと思いますし、紙の本は作らず、最初から電子書籍として刊行するということも当然のように広まってくると思います。 でも、こうした時代になったことを、自分たち編集者 (出版社) はピンチになったと捉えるのではなく、アイディアと工夫次第で何か新しいことができる可能性を秘めた時代が来たと考えるべきではないかと思っています。

 例えばワンソース・マルチユースの考え方では、上とは逆の発想で、最初に電子書籍として刊行し、その動向や読者の評価次第では、その組版データを紙の本へのアウトプットに展開するということも、自然な流れの一つです。 確かに、電子書籍があるのに (それよりも高い定価設定になるであろう) 紙の本を買う人がいるかどうかということはありますが、この点については相乗効果で成功した例も出てきています。(もちろん、今後もすべてうまくいくというほど単純ではないと思っています。) 

 また、ICTを活用して、同じ本 (電子書籍) を購入した人たち(読者)を端末を介してネットワーク化し、そこに作られた新しいコミュニティの中で (例えば、その本の内容をKeyとする) 別のストーリーを展開する、ということも考えられます。

 こうしたことは一つの例に過ぎないのですが、 これまでの “凝り固まった” 自分に 「ワンソース・マルチユース」 というメガネを一つ掛けてみるだけでも、何か新しい可能性を生み出す小さな種が見えてくるのではないかと思っています。 







Last updated  2010.06.24 01:40:19
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2010.06.17
カテゴリ:Editor's Life


 現在、 iPadの解説書や活用ガイドがいろいろと出版されています。  楽天ブックスにも iPad特集 のコーナーが設けられたようです。 新しい情報ツールやアプリケーションが発売されると、それをテーマに特集を組んだ雑誌や書籍が発売されるのは出版界では常なので、特に驚くことではありません。

 自分が興味深く思っているのは、 それらが皆、 電子書籍ではなく紙の書籍や雑誌であるということです。 iPadは電子書籍や電子雑誌が読めるということで、iPadの解説書や活用ガイドも電子書籍で、というのが自然だと考えます。 でも、現状は ・・・。
 
 まだiPadを持っていない人をターゲットにした内容のものであったり、iPadで読めるように電子書籍化するのが間に合わなかったというのも理由として考えられます。 そしてもう一つは、iPadで解説書や活用ガイドのページを開いて読み始めるとそれ自身で画面がふさがってしまい、その解説に対応するiPadの操作がやりにくくなる、ということもあるかもしれません。

 “自分自身の機能や操作法についての解説は、自分自身に内在していない方が使いやすい” ということがあれば、今後新しい電子書籍端末が出てきても、その解説書や活用ガイドは紙の本として生き残ることができるかもしれません。 もちろん、iPadや他の電子書籍端末を使って、新しく買った端末の解説を読むということは起こりうるのですが ・・・。

 ほんの些細なことかもしれないのですが、私自身は、いまの現象をとても興味深く思っています。







Last updated  2010.06.17 23:58:51
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2010.06.14
カテゴリ:ちょっと一言


 先週は土日とも、夏に刊行予定の本の校正作業で自宅に缶詰状態。 あっという間の週明けとなってしまいました。 書籍の編集者は (特に編集・校正作業に限っては) 独りでコツコツと進めていく部分が多いので、自分がやらない限りは仕事が全く前に進まないということで、私自身はこういう週末を過ごすことが時々あります。 

 日曜日の夕方、 さすがに このまま月曜日を迎えるのはちょっと寂しすぎると思い、 散歩がてら、しばらく通ってなかった近所の書店へと足を運んだのですが、哀しいかな、お店のシャッターには閉店の貼り紙がしてありました。 行くといつも笑顔で迎えてくれる優しいお爺さんが切り盛りしていた小さな書店だったのですが、そのお爺さんの人柄もあって、お店全体がいつも ほんわか とした雰囲気に包まれた、とてもアットホームなところでした。 まさに “街の小さな本屋さん” といった表現が似合うお店でした。 とても残念です。

 昨今の読書離れだけでなく、ネット書店や大型書店などの影響もあって、昔ながらの街の小さな書店は大変厳しい状況を迎えていることはよく知られていることではありますが、自分にとって身近な存在の書店がこうしてなくなってしまうことで、このことを改めて痛感させられました。 

 ちょっと悲しい気持ちで帰宅し、昨今の厳しい状況の中でも元気に頑張っている書店はどんなところだろうと調べていると、 本屋の歩き方 というサイトに出会いました。 すでにご存知の方も多いかもしれませんが、キャッチフレーズにもあるように、本屋さんの持つ魅力やそこでの楽しみ方を再発見させてくれるサイトなので、ぜひ覗いてみて下さい (「1000人に聞いた気分別オススメ本」 のコーナーは面白いですよ)。

 こうしたサイトをきっかけに街の書店が活性化してくれればと思いますし、一編集者としては、読者が書店で買いたくなるような魅力的な本を少しでも多く生み出すことができればと思う次第です。    







Last updated  2010.06.15 02:18:49
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