歴史漫画と人の命(夜回り先生の記事抜粋)
ケイの周りの元気な男の子達の間で「歴史漫画」がブームだ。歴史漫画もたくさんあるが、そのシリーズは武将物に焦点を絞った作品で 絵はいまどきの少女漫画のような繊細なタッチで 武将達はイケメン揃いだ。ちなみに我が家には、せっせとブックオフで揃えた歴史漫画の王道「少年少女日本の歴史」がど~んとそろっているが、ケイが手にとったのはわずか数回。まあ、いつか興味を持った時に見てくれればいいと思い今日に至っている。友達の影響で、ケイも図書館で借りて、その今風の歴史漫画を読むようになった。せっかくなので、私も読んでみる。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、平清盛、桶狭間の戦い、関が原の戦いなどなど全部で20冊以上ある。3冊位でギブアップ、もう読みたくない衝動にかられる。1人に焦点を絞っているせいか、戦いをしかけ、勝ったら次の戦いを挑む。負けたら自害。何人殺したとか、人質の妻子は切腹とか、、、その繰り返し。軽く書いてくれるけど、男の子達にはこれが面白いのか? こればかり読ませてよいんだろうか?そんな疑問で ずっともやもやしていたら、ある日疑問を解決してくれる答えを見つけた。中日新聞にコラムを書かれている夜回り先生(水谷修先生)のコメントだ。以下、新聞より抜粋こどもたち、君達はすでに歴史を学んだことがあると思います。世界征服をめざした**に心を踊らせたことがあるでしょう。しかし、その征服の過程で、どれだけ多くの罪のない人を殺りくしたでしょう。奴隷とされたでしょう。その地の金や銀、小麦などの富がどれだけ奪われたでしょう。これは日本の歴史でも同じです。テレビでドラマ化された***は、多くの人を死に追いやっています。それは、何のためだったのでしょうか。その当時の人々の幸せのため、そんな風に解釈する人はいないでしょう。自分と一族の繁栄のためです。でも、そんな今の時代なら、極悪人となるだろう人間が、何か英雄のように扱われています。戦国の武将でも同じです。私は、歴史を教えるとき、いつも歴史上有名な人の陰に、この血の臭いと悪の香りを感じていました。歴史に名を留めることなどできなかった多くの罪のない人たちや子供たちの限りない悲しみを感じてきました。省略本当に評価されなくてはならないのは、さまざまな戦争や弾圧、飢饉の中でも必死に家族を守り、今へとその血脈をつないだ多くの忘れられない人たちだと考えられます。子どもたち、こんな歴史の見方も考えてみてください。<掲載記事>中日新聞・2012年4月2日11面 「明日を求めて、、こどもたちへ」202回夜回り先生 水谷 修親として、小学4年生になるケイに私が教えていかなくてはならないのは、その戦いの裏にある「人の命の尊さ」なんだと深く思った。授業で歴史が始まる前に、歴史漫画を通して武将の名前や戦いの内容を知ってくれればいいと思っていた。でもそれはとても危うい事だったかもしれない。もちろん、歴史を知る事はとても大切だ。歴史漫画を読む事も素晴らしいと思う。歴史漫画にもいろいろ種類があり、どれを選ぶかも重要だ。ちなみに、漫画ではない読み物の「織田信長」に目を通してみたが、漫画のように生々しい死は伝わってこなかった。やはり、絵はダイレクトに飛び込んでくる。活字を読む事はイメージ力にもつながる。そういった意味でも、漫画よりも活字の本を読んで欲しいと願わずにはいられない。 を送る(フォームが開きます)