2019/05/17(金)07:41
マカロンはなぜエリスリトールではできないのか?!
実は以前、うちのお店は「マカロン」でよく知られていました。
なので「糖質オフスイーツ」に大きく舵をきった頃、エリスリトールでマカロンを焼こうと何度もトライしてみるものの、全く違うものに。。。
最後のあがきとして、クリームだけ変えてみてやっとこさ糖質7g程度まで落とせたのですが、手間が相当かかる割には、7gかあ。。。ということで、今のところお蔵入り。
ではなぜ、砂糖だと綺麗に焼きあがって、エリスリトールだと違うものになるのか???
マカロンは卵白で作るメレンゲがベースになります。
で、ここでメレンゲと砂糖の関係、卵白の性質などを少し調べてみました。
卵白を泡立てるときは、新しい卵より、少々古くなった卵白の方があわ立ちやすいことは、業界ではよく知られています。
砂糖の性質の前に、卵のことを。
新しい卵には「濃厚卵白」
古い卵には「水様卵白」と言われ、鮮度によってその中身が変わることが知られています。
この卵白の粘りは、オポムチンという糖タンパク質によるもの。
ネバネバの食べ物にはムチンが多い!って聞いたことがありませんか?
そう、そのムチン。
ドイツ語→→→MUZIN
英語→→→mucin 粘液素、粘素、糖蛋白質の一種 と訳されています
卵白の泡立ちは「空気変性」という性質を利用する。
これは液体に空気を取り込ませるために、その表面張力を小さくさせる。
ホイッパーなどで撹拌することで、それがおこります。
ホイッパーで撹拌し表面張力を小さくしておいて同時に空気を送り込む!そんな感じでしょうか。
水に液体洗剤を入れてかき回すと、泡立つのもこれといっしょです。
もしかしたら、このシャボン液に砂糖を少し入れると長持ちする泡ができるのかもしれませんね。
で、この泡立った卵白に砂糖を入れ、さらに続けるときめが細かく、しっかりしたメレンゲになります。
これは砂糖が持つ「水を引き付ける力」によるものです。
逆に最初から卵白に砂糖を入れると、泡立ちにくくなるのである程度泡立ってから入れるようにと業界では教えられます。これは、砂糖が空気を取り込んでできる壁を破壊するため、とされています。ちなみに機械で短時間で泡立てるときは、この砂糖の性質は防ぐことができますが。
マカロンはきめ細かくできたメレンゲに、アーモンドパウダーや粉糖をさらに加え、練りこんで生地を作ります。
この工程をそのままにエリスリトールに置き換え、やってみても、ツヤツヤのふっくらした焼き上がりがまったくできない。
その理由は、エリスリトールと砂糖の、水を抱える力の圧倒的な差によるものと考えます。
マカロンは生地を絞ったあと、その表面をしっかり乾かせたあと、最初 高温で表面に皮を貼らせてから、温度を下げ中を焼き上げます。
エリスリトールには、卵白のタンパク質とそれを抱え込む水をたくわえる力が、備わっていないので、ぺしゃんと潰れたカルメ焼きみたいな風にしか焼き上がらない。
何気に使っていたこの「砂糖」と「卵」の強力な化学的関係。
エリスリトールに置き換えてみて、始めてこの仕組みに気付きました。
なので糖質オフスイーツを作り続けていく上で、この成分の違い、性質の違いをよく考えていくと、その可能性はもっともっと広がる!そんな気がしています。
ま、いずれまた思い立ったら、糖質オフのマカロンに挑戦するかもしれませんが。。。
というわけで、マカロンと砂糖とエリスリトールのお話でした。