兼業農家が丹波篠山の農業を歪化している
2005年の国勢調査では、5年前の調査時より百万人も首都圏の人口が増え、その分地方は人口が減った。この主要因は地方で農業・林業・漁業がビジネスとして成立しなくなったことであり、丹波篠山も例外でない。現在篠山市の総生産額は1,449億円でそのうち農業がわずか2%で29億円、就業人口が23,482人でそのうち農業が15%の3,509人となっている。1970年には11,385人が農業に従事し、全人口の45%を占めていたが、30%ポイントがサービス、卸・小売・飲食業、製造業にシフトしている。では農業がビジネスとして成立しなくなったのはなぜか? 1)しんどい、2)儲からない、3)国による米の生産調整などが営農意欲(農業で儲けよう)をそぎ取ってしまった。昔は機械もなく人海戦術でなければ農業はできなかった。したがって、従事者一人当たりの耕地面積は小さくてもそれがカバーできる限界だった。この仕組みが丹波篠山の特産物を育ててきたのである。「しんどい」から開放されるために機械化が進み、トラクター、田植え機、稲刈り機、乾燥機、精米機を各戸が競って導入した。ボーナスの大半をこれらの農業機械購入に充て、先祖代々の土地を守ることが目的となってしまった。これらの機械で先祖から譲り受けた猫の額ほどの農地での作業をやるにはコストパフォーマンスが悪い。農業だけでは食べていけないので彼らは安定収入確保のため給料取りとなる。これが兼業農家である。この兼業農家が篠山の農業を歪化している。ここに丹波篠山の農業の危機がある。それぞれの兼業農家の耕地面積が小さい故、まず自分の主食たる米を作る。時間や体力に余裕のない農家は残された耕作地を政府の施策に乗って休耕地とする(これが一番儲かる営農システムかもしれない)。農業の目的が先祖代々の土地を守るために摩り替えられ、跡継ぎがその貧乏くじを引かず離農するばかりである。このような実態を見ずに農都宣言をした篠山市は丹波篠山の農業をどのようにしようとしているのか。農都とは何か? 何を根拠に農都篠山を宣言したのか?シンボリックなキャッチフレーズなのか?それとも、しっかりとしたビジネスプランが練られているのか?←丹波篠山を応援していただける方、ここをクリックしてください ←LLP丹波篠山はこちら