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2004年06月26日
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テーマ:ご近所問題(10)
カテゴリ:カテゴリ未分類
うちは日本でいう2階(フランスでいう1階)にある。うちの下にはアルジェリア人ファミリーが経営するバーがあり、昼間は怪しげかつむさ苦しい男達が一日中たむろし、夜になると地元のチンピラがわさわさと集合し、音楽だのサッカーだのと大変うるさい。おまえら、自宅にテレビもステレオもないのか、と言いたくなる(でも客層を見ると、本当に自宅にテレビもステレオもないような人もいるっぽい…)。

とくに、バーが5月末に重低音スピーカーを導入して以降、彼らが盛り上がっていると、まるで同じバーの中にいるかのように音が聞こえてくる。昼間彼らがつけてるテレビのニュースですら、熊蜂が唸っているようにブンブンときこえてくるし、夕方から朝の2時すぎまで、ド、ド、ドッカンドッカン、ズ、ズ、ズッシンズッシンとアラビアン・ラップのビートが、床から足に伝わってくるほど激しいのである。そのド、ド、ドリフの大爆笑みたいなリズムだけでなく「ア~ララア~ララハラハラアラララ」と高らかに、かつ暑苦しく熱唱するおっさんの歌声まで聞こえてくることもある。

最初は物珍しいので面白がっていたのだが、彼らは毎晩毎晩、しかも同じ曲ばかり半年ほどかけ続けるので、いい加減ウンザリしてきた。
友達(フランス系フランス人)の家に遊びに行った時、「最近はまってるんだよ」とその友人がアラビアンポップスをかけようとした。思わず夫と二人で露骨に嫌な顔をして「うわー何かほかのものにしてよ」と言ってしまい、結構そういう問題に敏感な彼に「君たち、差別主義者?」と言われてしまった(ちなみにフランスではアラブ人が差別を一番受けやすい人達ということになっている)。差別かどうかはともかく、それほど私達はアラビアンポップにウンザリしているのである。毎晩、演歌ばかり大ボリュームで夜中の2時すぎまできかされることを想像してみてほしい。それと似たようなものだ。(関係ないが私は演歌も嫌いだ)

サッカーの試合などがあるともう最悪。アルジェリアチームの試合であろうとフランスチームの試合であろうと、いい年こいたむさくるしい男ばかりが下のバーに集まり、テレビにむかって「シュート!」とか叫んじゃってドカドカ足踏みならすのである。試合が終わると興奮して音楽をかけ出す。それでもフランスが負けると私達はほっとする。フランスにそのまま勝ち進まれてしまったら、またうるさいのだ。

赤子がいなかった時は、私もどうせ朝まで起きていたクチだったので気にならなかった。逆に下がうるさいので、自分の家から出る音もさほど気にしなくてよくてこれ幸いと思っていたぐらいである。しかし赤子が生まれると、狭くて騒音からの逃げ場がない分、気になってしかたがない。こんなズッシンドッカンズンズンズンズンといつも床から音が響いては、四六時中頭をベッドにつけている赤子の脳波がどうかしてしまうのではないだろうか?(といいつつ赤子の枕元で四六時中PCつけてる私であるが、それは棚上げとする。)

そこで、現在、夫とともに、下のバーに対して、静かにしかし執拗に「防音工事をさせる作戦」を展開中である。

以前は警察を呼んでいたのだが、警察は、来ない。下のバーの騒音がひどくて私が自分のアパルトマンから電話しているその声がきこえないほど酷い時だけは来るが、バーは警察が来た時だけボリュームを下げて、警察が去るとまたボリュームをあげるので、殆ど意味がないし、彼らは警察呼ばれたということで態度を硬化させるだけであった。同じ建物に住む住人複数で苦情を言った時も、複数で行ったため必死になってしまったのか、逆にこっちが脅される始末であった。

しかし、最近状況が少し変わった。以前は、下のバーを経営するアルジェリア人ファミリーは、バーの場所を「借りていた」のであるが、最近、購入して「持ち主」になったのである。苦情が出ても、もう窮鼠猫を噛む、みたいな心境にはならず(借りてる場合は、建物の住人から集団で苦情が出た場合、立ち退きをくらわされることもある)、持ち主として少し落ち着いて苦情に耳を傾けられるようになったみたいだ。
それに、私達に赤子が生まれたのが彼らの心を微妙に動かしているらしい。
 前は夫が苦情を言いに行くと「お前は差別主義者か」などと侮辱されて帰ってきたものだが、最近、相手は少なくとも口だけは「確かにもう夜中だね」などといって聞く姿勢を見せるようになった。夫が遅くまで仕事をしている時は(自己経営の零細企業なためオフィスで一人で夜中の2時ぐらいまで働いていることがある)、私が直接バーに電話して、「こんばんワ。あなた様の上に住んでる隣人なのですが、赤子が眠れないのでおりますので、申し訳ないのでございますが、ちょいとボリューム下げていただけませんでしょうか?」とすまなそうな声で電話をかける。相手は意外とすんなり「OK」と言う。で、結局殆どボリュームは下がってないのだけれども、あまり何回も電話をかけて追いつめてもしかたがない。

一度、
客 「もっとボリュームあげろコラ」
バーの人「騒音がうるさいって苦情が出てるんだよ」

…というやりとりがきこえてきたことがある(それほど音が筒抜けなのだ)。

客からの圧力も結構あって、そう簡単にはボリュームを下げられない模様だ。
それに、一度、夜にこのバーに行ってみたことがあるが、実際バーの中にいると、客のおしゃべりや外の車の音で、それほどボリュームを上げているという印象はしないのである。音が筒抜けな古い建物の構造も悪いのであろう。それにこの手のバーは、音楽をかけたりテレビをつけたりしなければ商売に響くであろう。

といういことで、「防音工事」が一番妥当な解決策だと思われる。これで彼らも気兼ねなく騒音を立てられるし、私達も安眠できるのである。





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最終更新日  2005年02月28日 20時36分00秒
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