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カテゴリ:日常生活
狸さん(うちの赤子1歳7ヶ月)が寝たので、ラーメンでも食べようかと思ってラーメンをつくったら、ラーメンが出来た途端にオギャーと起きてしまった。しかたがないからラーメンを気にしながら、添え乳。
その間に、中庭からシラク大統領の声が聞こえてきた。 もちろん、私はエリゼ宮に住んでいるわけはなく、同じ建物の4階に住んでいる頭のおかしいヒッピー世代のマリファナおじさんが、大統領演説に刺激されてテレビのボリュームを最大限にアップしてるのだ。窓を閉めているのに、演説内容が全部聞こえてくるほどだ。 とりあえず私に聞こえた部分だけ書くと、、 シラクは「discrimination positiveポジティブな差別」は、あくまでも採用しない、と言っていた。 discrimination positiveとは、英語でいう、アファーマティブ・アクション。アメリカでしばらく前まで盛んだった方法で、就学や就職などに際し「黒人を何%採用しなければいけない」などと義務枠をつくって社会から強制的に差別を抹消していく対策のことだ(アメリカのことはよく知らないけど、どうもアメリカでは最近は必要なくなったと見なされ廃止の傾向にあるらしいですね)。 これはまあ現在のフランスにおいては正しい選択なのかもしれない。アファーマティブアクションは、フランス社会で目に見えて分かるほどゲットー化してる彼らをなんとかするには一番簡単な方法ではあるとはいえ、 ただでさえフランスの庶民層は、「移民が優遇されすぎている」「移民に仕事を奪われている」と思っているのだ。 この上、移民の子弟たちにアファーマティブ・アクションなどとったら、移民や移民の子弟に対する彼らの不公平感と憎悪を更に煽ってしまうであろう。そして極右政党支持者が更に増えるだろう。少数のエリートがフランス社会を導いているとはいっても、選挙となれば、庶民層が数で大きな力を見せるのは前回大統領選で証明済みだ。 それから移民といってもヨーロッパ系移民だっているし、非ヨーロッパ系に限定したところで、アラブ、アフリカだけでなく、パキスタン人だの日本人だの…いろいろいるのだ。どの移民系に対しアファーマティブ・アクションをとるか決めるのは至難の業だろう。 …4階のマリファナおじさんが急にボリュームを下げた。 狸さんはそれからまた1時間半ほどぐずって、オッパイ(もう出てないと思うけど)を飲みまくり、やっと寝た。 ラーメンの前に戻ってきたら、麺がスープを吸ってスパゲッティのような太さになっていた。 昨日もラーメンが出来上がったところで狸さんがオギャーと起き、寝付かせるのに2時間もかかって、私はぶよぶよの冷たくなったラーメンを泣きながら食べたのだ。 狸さんも早く私の人権を尊重してくれるようになればいいのにと思った。 ちなみに、あとで新聞サイトをチェックしたら、シラクは、このほか、「若者たちよ、君らの出自がどうであれ君らはみーんな共和国の子ども達なのだ」「まずは治安が最優先」 「貧しい郊外の若者たちに職が見つかるようにservice civil volontaire"(*)を強化、彼らの職への取り込みを活性化させる」等々言っていたそうな。 (*) service civil volontaire 私も「ヴォランティアの市民サービス」と訳しそうになったし日本のメディアでも「ヴォランティア対策本部」等と訳されているみたいですが、これは確か、以前の「兵役(service militaire)」に代わってできた若者用プログラムだった思う(でもservice national volontaireという別の呼称だったような気も??)。うろ覚えだけれども、以前の義務兵役は、もっとプロフェッショナルな兵力が欲しい軍にとってもたいして役に立たなかったどころか、若者の就職を妨げていた側面もあり、若者の中での希望者(男女問わず)が、治安や社会福祉の現場で職業訓練的な要素を持った市民活動に関わることができるようなシステムに取って代わられていたと思う。 テレビをつけた時に(ニュースなどで部分的に)シラクの演説が映っていると、当然、あのカタカタとした顔の筋肉や上体の動き方に赤子は釘付け。 狸さんはシラクが映るたびに「プー!プー!」と、 縫いぐるみのプーとテレビのシラクを見比べながら騒ぐようになった。 確かに眉毛がカタッと落ちているのと目のあたりがなんとなく似ていないでもないが。 シラクのテレビ演説はしばらくの間こちらで見られる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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