フランスのハロウィン
友達二人を招いておうちで食事をした。彼等二人が着く前、夫が買い物に行って、家に私一人でいるちょっとの間に、ドアの呼び鈴が鳴った。うちはインターホンも除き穴もないので、ドア越しに「誰ですかー?」ときくと子供が騒いでいる声がするのでとりあえずドアをあける。と、子供が3人、仮装をして立っており、キャンディーをくれという。「あーハロウィンか」とはわかったけど、もともとフランスにハロウィンの習慣はなく、何年か前から、パティスリーなどが売り上げ伸ばすためにハロウィンを推奨しはじめただけである。まだ日本のクリスマスやバレンタインデーほどにはなっていないが、年々定着の度合いが高まってきているようで、なんだか嫌な予感がする。根がスクルージな私は、咄嗟に「ウザッ」と思ったが、こいつらは多分同じ建物に住んでいる子供たちだから、ご近所関係を考慮しても、何かくれてやったほうがいい。ピンポンダッシュのターゲットにでもされたら迷惑でる。しかしキャンディなんていきなり言われても、何もない。とりあえず既に開封してある咳止め用ハーブドロップの箱が目についたので「これしかないけど、これでも欲しいか?」ときいたら、一番小さいのが「欲しい。」というのでそれをあげる。その子がきちんと「ありがとうございます」なんて言うので、こっちも気分が和らいで「どういたしまして。ハロウィンなんて来ると思ってなかったから何も準備してなくてごめんね」と菩薩のような笑みを浮かべたら、3人のうち一番でかいのが、図に乗って「お金でもいい。お金下さい」と、容器のようなものを突き出した。ムカッとした私は、その子が金くれと食い下がり続けているのを無視して「おやすみ」といって鼻先でドアを閉めてやった。こういうとこがフランス人の嫌なとこだ。うっかり優しい顔をするとどんどんつけあがる。しかも、この年ですでにこれだ。その後、友達二人が到着、買い物に行っていた夫も到着した。食事をしながら、さっき子供たちが来たことを話す。「お菓子を要求するのは知ってたけど、お金を要求するなんて普通なの?」ときいた。夫と友達Aは土着フランス人で彼等が子供の頃はハロウィーンなんてもちろんしなかったので彼等は「さあ」。しかし友達Bは、韓国系カナダ人兼フランス人、カナダで子供時代をすごしたためハロウィーンを経験しており、彼女は「私もカナダで子供の頃、ハロウィーンは友達と一緒に近所をまわったけど、お金をくれなんていうことは絶対ない」と言う。もともとフランスにない習慣に、更に勝手にお金を請求するというオプションをくっつけるとはさすがフランスの子供達、クリエイティブだ。