|
カテゴリ:カテゴリ未分類
日本の古文化財の保存とか補修に付いては、古色を損なわないという不文律が有る様だ。其れは経年其の事が大きな価値と考えるのかも知れない。
本サイトで載せたことも有るが、中国に於ける古文化財に対する保存修理は、其の物が出来上がった当初の様に復元する事を目的とされていると感じる事が有った。 古色を残す文化財とは別に 昨日本サイトに載せた伊勢神宮の式年遷宮の様に、新しく建て替えてその技術とか継承に大きな価値感 責務を見出す事も有る。 建築物 特に住まいの場合、古色を残すという美意識とは別に、新しく美しく住む事に充足感を感じる人も多い。柱だけ残して建て替えでは無く補修と土地の有効活用を図るケースも有るが、木造建築物を新しく建てたかの様にリメイク? 古色を洗い流す『洗い屋』と言う職種の有る事をご存じだろうか? 京都工芸繊維大学の中山利恵氏の ご研究を紹介したい。 建物を新しく甦らすには、『洗い』し『削り』が有ると説く。古材の表面を削って新しく建てる建物や 補修に使う事は、非常に古い時代からそういう需要も有って技術が確立していた様だ。新材を切りだして建てるより 古材を再利用した方が費用の事 又 充分乾燥した歪(ひずみ)の少ない材が使えるというのは 経験知以外の何物でもない。 削った用材で建て直したという事例で、資料が残っている一番古い事例では、唐招提寺が、健治元年(1275)ごく一部分を残して削り直して 鎌倉様式に建て直したという記録が嚆矢とされている。 新築・補修に限らず 古材を削り利用可能な部位を使うという事は、長い間 建築のサブ技術では有るが確立して多くの事例を古文書ひも解いて書いておられる。 削りに対して 洗いは 今も残る『洗い屋』の専門家に聞き取り調査をされている。洗いにはその起源が二説有り 京都の数寄屋建築に使われる杉 磨き丸太と呼ばれる製造過程 洗いと酢を使う事の効果と、農家の農閑期の灰汁洗いの出稼ぎが起源と言う二説 何れも近代の化学薬品が登場する前の事。 近現代の洗い屋さんは、苛性ソーダ―の導入を契機に硫酸も用いられたという 又これらの薬品は 国の専売だった様で、後に武田製薬の草莽期に払い下げが有ったとも書いてある。 削りとか洗いと言うのは 今よりもっと活発な営業展開をしていた様で、京都や大阪の色町 神社には 正月を迎える 11月12月が洗い屋の繁忙期だったという。詳しく幾つもの事例が載っているのだが 全部を掲載出来ない。 中山利恵氏のレポートを読んでいて ふと気づいた事 今京都市役所前では、大きな工事が始まっている様だが、京都市役所御池通りに面した古い建物 埃や排ガス 鳥の糞害などで黒ずんで精彩無い姿を晒しているが、一部分でもこの伝統的な『洗い』を掛けてみては如何なものかと思う。 取り壊して新しく建てるほどには 金は廻らないが、古きを大切に守るという京都の心意気を世界に示す事が出来るのではないかと柳居子思う。 本日・本サイト 4382連載12年間を刻む 明日から13年め 日頃のご愛読感謝。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
「洗いや」とはまた懐かしい言葉を聞くものです。
その業種は今も現存するのですか。昔は借家に出された り売られて新しい住人がすむ前には「荒い屋」が綺麗に していましたね。 この言葉には面白いトラブルがありました。現役の頃 ボスが奥様がお使いの家庭用の電話番号簿が古くて 汚れたので新しいのに転記してくれといわれました。 指示された若い社員が清書した後、私が点検することに なりました。すると「あらいや」と書いてあるところが 「新井屋」になっていました。若い人にはそんな業種が あるなんて思いも及ばなかったのでしょう。それにして も確認もしないで勝手に書き換えるなんて私にすれば 思いも及ばないことでした。指摘して二人で大笑い しました。広辞苑7版には記載ありますかね。 (2018.04.15 11:51:39)
|