依存症

2019.09.07

　朝の珈琲屋の卓に上がった話題。『お医者さんが下す病名。これも一般的な販売商品名と変わりなく　新病名　新商品が次々と、出来ている様に思いますなぁー。』から話しが始まった。

　一過性・突発性・本態性・神経性・・・　又同一病名だと思うのに名前が其れらしく変るものも有る。昔は『神経衰弱』で片付けられていたものが『適応障害』やんごとなきお方が、神経衰弱とは畏れ多いと急遽考え付いたのが病名というより軽い症状名。

　神経性と　言われると原因不明　こちらの心の持ち様が悪いのかと思ってしまう世代だが、一過性とか突発性と言うのは、様子眺めで済ませていた症状に然るべき薬剤処方をして、患者が安心して医者も儲かる。経過観察だけでは売り上げに繋がらないのだろう。

　中毒という言葉も最近は聞く事が少なくなった。父柳居は若い時からの過度の飲酒が祟って、晩年は『アル中』気味だったが、死ぬ少し前から『依存症』という病名に替わった。　『ポン中』ヒロポン中毒は薬物依存症　『パチンコ中毒』は、ギャンブル依存症に換わった様に　〇〇中毒の多くは　依存症という名前に衣替えした様だ。

　酒を呑まないと手が震えるとか　会話が出来なかった父を想いだした。今なら別の対応が出来たと思うのだが、岩倉に古くから在る精神病院へ人を介して、父の症状を先生に訴え　元の溌剌とした父を取り戻そうとしたが、面接の先生曰く　『暫くの間　お父さんをお預かりする事は出来ますが、その症状を治すとか元に戻す事はもう無理な事かも知れません　お父さんお幾つですか?』と尋ねられ『七十四歳です。』(柳居子の今の歳)と言うと、『もう少しの辛抱で、お父さんを好きなようにさせるというのも一つの選択肢　お聞きしたところでは他人に危害を加える様な事は無さそうだし。』と言われ　吹っ切れた。　其の後も手こずる事も有ったが、こちらの腹が据わると容認の心も芽生え　暫くしてもう酒は要らんと言って程なく他界した。

柳居子自身は、最初の禁煙をしたのが、二十歳成人式の日だつたから喫煙歴は数十年に及ぶのだが、成人式の日一日だけ禁煙　其の後他人の分まで吸うという煙草吸い　ニコチン中毒だったが、数年前スパッと煙草を止めた　パイプ煙草を好み　ダンヒルのパイプを何本も持ち　パイプ煙草の友も沢山居た。宍戸恭一氏も仲間の一人だった。止めようと思って止められたのは本当の煙草吸いでは無かったのかも知れない。

　中毒とか依存症と言うのは。其の事が愉しいとか楽になるとか、徐々に深みに嵌まって行くのだと思う　又　自分から抜け出せない状態かと思う。

先日お迎えした客人は　鬱状態が長く続きご自宅までお送りしていたのだが　やっと寛解　症状が良くなられたのだが　今は『スマホ』が愉しいと仰っていた。バスに乗ってもスマホを触っていない人を探し出せない程　若い人は夢中になっている。大勢　絶対多数が使っているのだから　自身がスマホ中毒　依存症の意識は無いと思うのだが、現実にはスマホ依存症は日本国内に蔓延している病理状態だと　柳居子は思うのだ。

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Last updated 2019.09.07 14:49:07
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