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カテゴリ:街について
大都市になると、通りの名を聞いただけで、具体的なイメージが浮かぶような特徴ある通りが交差しあって、街を形づくっています。多くの「大通り」は、両端に店が並び、歩道に街路樹、中央には車が行き交っています。 沼沢地につくられた街という、街の土台づくりから違うこのヴェネツィアには、いわゆる「大通り」といったものはありません。リアルト橋やサンマルコ広場周辺に集中する店沿いの道も、その短さからは「メインストリート」とは言えないでしょう。あらゆるところが「メイン」であり、同時に「路地裏」であるのがこの街の不思議さです。 それでもしいて「大通り」らしきものを挙げるとすると「ストラーダ・ヌオーヴァ」でしょうか。駅からリアルトを結ぶ位置にある「新しい道」という意味のこの道は、19世紀の終わりにオーストリア人の発想で作られたものです。「大通りのあるウィーンのような」街づくりをめざしたのか、元あった住居や教会をざっくり切ったり、運河を埋め立てたりして出来たものです。 地元の生活圏としも、観光客の通り道としても、ヴェネツィアで一番活気にあふれている「大通り」がこの程度の幅ですから、車社会でないこの街の、「人間中心」のサイズがわかるというものです。道の中には、一人の傘さえ広げたままでは通れない、細い通りもありますから。そんな小さな道から大きな通りまで、すべての道がいつでも「歩行者天国」である都市は、ここだけでしょう。 この「ストラーダ・ヌオーヴァ」は、クリスマスが近づくと通りを露店が埋め尽くして、また独特の雰囲気をかもし出します。衣類から鍋や窯、骨董品までランダムに並んでいる露店を見ると、今年もあと少しだなあと思う、ヴェネツィアの「大通り」です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/17 05:51:16 PM
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