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ヴェネツィアの獅子たち

ヴェネツィアの獅子たち

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Reiko Fujiwara Marini

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2008/03/29
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カテゴリ:見どころ
 この美しく精巧な時計を作り上げた
ジャンカルロ・ライニエーリと、その父ジャンパオロが
制作終了後に「他の場所で、同じ時計を二度と作れないように」と
「ヴェネツィア政府により、目玉をくり抜かれた」という伝説が
あります。

 これがもし本当のことなら、こんな酷い話はありません。
傑作を作ったがゆえに、その腕を疎まれ、職人生命と
人間としての尊厳を奪われるなんて。

 しかしこれは、後々の噂好きの人々が作り上げた、
あくまで「お話」であって、事実ではないでしょう。

 まず、「ライニエーリ父子は、その後家族でこの時計塔
に住み、時計の調節、修理を任された」という記述があります。
 
 傑作といっても、絵画や彫刻と違って、歯車が複雑に
からみあった、しかけのある「機械」です。
 さらに、時計は風雨や雷などにもさらされる外にあるので
メンテナンスは不可欠だったでしょう。
 
 専門の知識と技術が求められる修理を「失明した」状態で
任されたとは、まず考えられません。

 もう一つの理由として、ヴェネツィア共和国は「技術立国」
であったことです。
 魚と塩しか資源のない、この国の豊かさは、様々な分野の
徹底した職人達の技術で成り立っていました。
 
 モザイクやガラス職人、土木建築、造船、印刷技術から
船乗りや商人まで、あらゆる方面の妥協しない高い技術と
発想が、国内外の信用と名声になり、国に富を
もたらしていたのです。

 この伝説のようなことがもし起これば、職人達は直ちに
反発し、優秀な技術を持つ者は、国外に流出し、結果
国の衰退につながることを、政府側は十分承知していた
はずですから。

 彼らも、国の権力が一人の人間や、一家族に集中
しないよう、工夫を重ね技を高めた、政治家という
職人達でした。

 「二つと同じ傑作を作らせないために」失明させる
などという、権力者のとんでもないエゴは、独裁政治の
下では起こっても、ヴェネツィア共和国ではリアリティー
が、ないと思うのです。






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Last updated  2008/03/29 05:19:15 PM
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