2007/08/08(水)11:32
短歌覚え書き その十七
雨雲に暗がる部屋の片隅にむさぼる夢も色の無き夢
緑冴え雨後の並木は神さびて我が襟首にも水の洗礼
花を見たばかりの木々に早実り実らぬ想い抱えて帰る
雨降れば色を失う梅雨景色鮮やかなれと夏想う時
蝉の声響き過ぎれば風流も消えて耳まで塞ぎたくなり
熱気浴び緑の木蔭も涼しさに遠い都会の谷間を歩く
夏の日の風ゆらす葉のささめきに清涼という言葉を思う
夏の日の行方知れずの思い出はもろこし畑に揺れて隠れる
梅雨に憂い梅雨の開ければ暑に憂い晴れぬ心は何処の雲ゆえ
熱き胸に冷たき雨の降る時は哀しき君の瞳の濡れる
暑き日は食も細ると食べ物も細きを望む夏の蕎麦かな
太陽のあまりに強き夏の日は鳥も木蔭を求めて憩う
夢に降る蝉の声にも山彦の如き不思議な反響を聞く
人工の甘露を片手にしのぐ夏清涼の文字にすがる思いで
熱帯夜暗き空には涼しげにまたたく星が無数にあれど
夏祭り冷たきビールに誘われて囃子の如き軽き足取り
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