「思考と直覚」人間の霊魂を思考/トマス・アクィナス-7(二百五十八)
「思考と直覚」人間の霊魂を思考/トマス・アクィナス-7(二百五十八) 南イタリアはロンバルディアの貴族の子として生まれ、モンテ・カシノ修道院(Monte Cassino monasterium)の院長であった伯父の跡を継がそうとする両親によって5歳にして修道院に入れられた両親が、清貧に甘んじるドミニコの「説教者修道会」への入会を決意、両親にしてみれば、穏便にモンテ・カシノ修道院との院長であった伯父の跡を継がそうとしていたから困惑し、豈図らんや、事もあろうにアクィナスが最も不自由していたであろうもの、女性を充てがうことに決め、彼を無理やり修道院から生家である生家の豪邸に連れ戻し、しかも軟禁状態にしておいた上で高級娼婦に巡りあわせます。しかし、決意堅きトマス・アクィナスはイタリア・ナポリからドイツのケルンへの旅路につき人生の門出へ向かいます。その地のドミニコ大学院で、人物神学の研究と教育のためには、世界と人間に関する学、すなわち哲学が不可欠であり、そしてこのような世俗的学問に関してはアリストテレスが最善の教師であると確信した人物アルベルトス・マグナス(Albertus Magnus/1200?―1280)に師事し、1,260年にはドミニコ会のナポリ総会によって全修道会説教家の地位を得て、神学教授としてパリ大学に赴きますが、1,272年にはナポリ大学に呼び戻され、生涯をナポリ大学での活動に捧げています。ドイツの神学者でありスコラ学者並びに自然学者。ドミニコ会士で聖人。その名は大アルベルトゥスと称される学の全領野にわたる博識のゆえに全科博士(Doctor universalis)とも尊称される人物との出会いがトマス・アクィナスに不朽の名声を欲するまでもなく与えます。