「時間存在」48
時間の陥穽48 時間は方向性を持たないとの論に対し、我々の常識は異を唱えます。過ぎ去った過去時・今現在幅を持たない其の瞬間・未だ来たざる未来時を生活観的には親身に感ずるからです。物理学の未解決問題として、何故に空間と違い時間は一方向にしか進まないのか。何故に過去は低いエントロピー値であった宇宙が、過去と未来が区別できるようになり、熱力学第二法則を持つに至ったのか。古史ギリシァの唯物観のゼノンの飛ぶ矢「飛ぶ矢は飛ばずのパラドックス」を基にした時間の矢( Arrow of Time, Time's Arrow)は、1927年に英国の天文学者アーサー・エディントンが提唱した概念であり、時間の 「一方向性」または「非対称性」を表す言葉です。ヨハン・ロシュミットによる「時間対称的な力学から不可逆過程が導かれるはずがない」という批判もあります。空間は前後左右上下とどの方向についても対称的に移動できるのに、時間は過去から未来にむけての一方向にしか、即ち、非対称的にしか進行することがなのです。これを、一度放ってしまえば戻ってくることはない矢で例えたものであり、時間の矢はなぜ存在するのか、詰まるところ、何故に時間は過去の方向には進まないのかは、現時の物理学では実のところは未解決問題の一つであるのです。此のことが「時間」の錯綜を引き起こします。哲学・思想ランキング