「霊魂論」神秘学40
神人融合論は宗教及び哲学においての絶対者、其々に思考の立ち位置に従って名称は変わるものの、神・最高実在・宇宙の根本原理などを自らのうちで内心外覚で直接に体験して,自己との合一を求める立場を基本としています。絶対者は人間の言語や思慮などを絶したものであることから,概念的な思考や単なる信仰では把握(はあく)出来得ず,人間が自己を完全に滅却する、仏教に云う「無我」によって「神秘的合一」が可能になると考えることが神人融合論の基本的な捉え方でしょう。神秘主義は既成宗教が時代の進捗による形式・形骸化するにともない必ず生起する現象です。その起源は古く,洋の東西を問わない現象です。インドのウパニシャッドや仏教の密教はその典型で,イスラム教にもイスラム神秘主義(スーフィズム)があり,ユダヤ教にはカバラやハシディズムの伝統があります。西方のキリスト教神秘主義はパウロやヨハネに端を発し,其の後に新プラトン主義を摂取して形成されます,形而上哲学に於いてもアウグスティヌスを経て中世のベルナールやボナベントゥラに至る神秘神学の流れがあります。東方キリスト教世界にも古代以来の大きな潮流があり,現代に至るももアトスにその実践を見ることができます。13世紀にはエックハルトを代表者とするドイツ神秘主義運動が興り,敬虔主義へとつながる史的流れがあります。アビラのテレサや十字架のヨハネによるスペイン神秘主義やフランスのキエティスムも重要です。神秘主義が近代以降の科学や芸術に及ぼした直接間接の影響も無視出来得ません。
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