カテゴリ:時間考察
時間の陥穽53
現代物理科学はコア(核)のビッグバン以前には端的に「無」があったと想定されるのは矛盾的だとする指摘に対して、何も宇宙の発生に神を導入する必要はさらさらなく、只々物理法則によってビッグバンが生じたと主張するアメリカの物理学者アレクセイ・フィリペンコ教授(Alexei Filippenko)が、物理法則のみによってビッグバンが生じた理由を述べます。「なぜ無から宇宙(有)が発生したのか」ではなくて「なぜ物理法則があるのか」という問いに換言する仕法です。然し乍ら、これには物理法則即ち「無」に替わり全てに優先するというところに大きな問題が潜んでいます。現代物理学の観測から理論化された「ビッグバン仮説」では時間・質量・温度などがやがて無限大に至り、あらゆる物理法則が成り立たない「特異点」の存在、宇宙の最終形態が想定、認容されているからです。此の特異点の問題を解決しない以上、ただ単に物理法則によって宇宙が発生したとは云えない筈です。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月08日 06時16分58秒
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