時間の陥穽103
時間論に関しては現代に於いてもアウグスティヌスの時間論を基底に構築した哲学や物理科学原論の骨子に応用展開されること屡々です。勿論のこと、アウグスティヌスの時間論以前に「時間論」を考察した思想家は史的に登場するだけでも多々あります。ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師に当たる祖父譲りのアリストクレスという名があるが、身長高く体格が並々ならず、青年期はアテナイを代表するレスラーとしても活躍し、イストミア大祭に出場した他、プラトンという名前そのものがレスリングの師から付けられた仇名であると言われている古史オリンピックのレスラーでもあったプラトン(紀元前427年-紀元前347年)は、知覚の対象であるが思惟の対象でない実在と思惟の対象であるが知覚の対象でない実在の区別で「時間論」を解きます。彼は時間を一定の円運動を行なう天体の運行によって生じ、そこに永続性としての永遠「神の一瞬」とのつながりを見ることができるとして、時間を永遠の動く似像と位置づけています。人間が観相する時間とは、「永遠」即ち、絶対の永遠の過去・今・未来を完結する「一瞬が全体」を統合するのです。人間の時間観相を、ギリシア哲学では万物が流転するという宇宙の真理・理法。また且つ、万物の流転中に存在する一定の法則や原理を「ロゴス」としたのも、永遠の全体・永遠の一瞬の思惟の対象であるが知覚の対象でない実在を意味しています。
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