時間の陥穽331
生物時計の発振機構は、飽くまで、其れ自体で時間を発振しているのではなく、生命が地球上で育まれた故の生存手段として獲得された概日リズム(サーカディアンリズム)であり、其れ自体には時間なるものが在するわけではありません。一定生命の生存期間に対しての時間経過の長短の認識なるものは、哺乳類では身体の大小、一定時間での呼吸の数・心臓の拍動数によって遍く共通するものではなく、其れ其れの個体で時間の経過速度への認識が変化している筈です。時間其の因である時間因子を生命体が自体が持たない証です。それでは生命体の外部環境である世界、宇宙では時間は等速に流れているのでしょうか。1665年から1666年のペスト流行期に大学が閉鎖され、ウールスソープに疎開していたときに運動力学・数学・光学の三つの分野で多くの理論を打ち立て、有名な林檎のエピソードの万有引力の法則の着想を得たニュートンは、地上の重力が月の軌道にまで及んでいると確信し万有引力・絶対時間を更には絶対空間を説きます。現在でも常識論としては日本の義務教育や生活常識では何らの不具合を見出し得ませんが、世界が物理化学理論、なかんずく、IT技術の急進に伴い其れを追いかける物理観測天文学が、絶対空間・絶対時間を経験則に押し遣り、現代では世界の真実相が見直されています。
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