カテゴリ:時間考察
時間の陥穽338
古代のギリシァを中心とした西洋思想の真実を追求する思考「哲学」では、先ず、唯物論が先行し其れを追う形で形而上論が勃興します。古代ギリシアの原子論者デモクリトス(Democritus)は、世界は空虚の中を運動する無数の微小な原子からなるとして、空虚の存在は原子の存在と同じく確かなものと考えていました。片や、形而上哲学の雄アリストテレスは、空虚の存在を不合理なものとして否定します。その後の、文明学府でもあったアレクサンドリアの科学者のなかには原子論を受け継ぎ、気体の実験的研究を行う者もありましたが、アリストテレスの学問的権威は近代までの大凡2000年もの間、原子と真空を自然学の世界から追放してきました。11世紀以降に主として西方教会のキリスト教神学者・哲学者などの学者たちによって確立された「学問のスタイル」であるスコラ学の方法論は、自然において真空はありえないものとされ、大気圧による様々な現象は「自然は真空を嫌悪する」という言葉によって説明されています。「真空」を「空虚」と同一視していたことが伺えましょう。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年11月30日 06時01分41秒
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