Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

2021/05/06(木)06:03

神の存在-43

絶対存在論(529)

神の存否-43  スピノザは、神が自己原因を認識しない、且つ、何故に自由原因たるかを示すに至り、神の本性を示し、その諸特質を説明したと結び、其の詳細を語ります。「すなわち神が必然的に存在すること、唯一であること、単に自己の本性の必然性のみによって在りかつ働くこと、万物の自由原因であること、ならびにいかなる意味で自由原因であるかということ、すべての物は神の中に在りかつ神なしには在ることも考えられることもできないまでに神に依存していること、また最後に、すべての物は神から予定されており、しかもそれは意志の自由とか絶対的裁量とかによってではなく神の絶対的本性あるいは神の無限の能力によること、そうした諸特質を説明した。さらに私は、機会あるごとに、私の証明の理解を妨げるような諸偏見を取り除くことに努力してきた。しかしまだ少なからぬ偏見が残っていて、人々が私の説明した仕方で物の連結を把握することを同様に、いな、きわめてはなはだしく、妨げ得たしまた現に妨げ得ているのであるから、それらをここで理性の検討にゆだねることはむだではないと思うのである。」と、スピノザの証明の理解を妨げるような諸偏見があることを強調します。事実此の偏見がスピノザの「エチカ」生前出版を断念させ、死後の出版も無名という形式になるのですから、其の偏見は宗教のみならず政治的なものでもあったでしょう。以上を量子重力論に当て嵌めれば、宇宙の究極の因子が情報因子であるとすれば、其れは一切の他者を相容れない自立・自由意志の因子であり、究極の世界の構成素材そのものが「神」と呼ばれることになります。インプットは唯一つの自由因であり、目的因は無いか若しくは人間の物理観測的には永遠に隠され、世界の成り立ちを理知を超えた人間の「直覚」が担える問題となるのか、行く末は見渡せません。 哲学・思想ランキング

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