カテゴリ:絶対存在論
神の存否-127
スピノザの云う、神のある属性が定まった存在を有する有限な様態的変状に様態化した限りにおいて神ないし神の属性から生起し、あるいは存在ないし作用に決定されなくてはならない、第二にこの原因あるいはこの様態もまた他の原因から決定されなければならぬ。そしてこの後者もまた他の原因から決定され、このようにして常に無限に進むとする彼の世界は、量子重力理論の並行宇宙論や多重宇宙理論及び「再生と消滅」を繰り返すサイクリック宇宙としての宇宙再生論を勿論のこと想定したものではなく、無限の時間と空間を想定していることは、認識・認証哲学を標榜する以上、当時の世界では物理科学の制限が仂きます。此れが大乗哲学の物には囚われない態度との決定的な相違です。 備考 ある種の物は神から直接的に産出されなければならぬ。神の絶対的本性から必然的に生起するものがすなわちそれである。また他の種の物はこの前者の媒介によって生起しなければならぬ。しかしこれとても神なしには存在することも考えられることもできない。この帰結として第一に、神は神自身が直接的に産出した物の絶対的な最近原因であることになる。私は絶対的な最近原因と言う。そして、いわゆる自己の類における最近原因とは言わない。なぜなら、神の結果は原因としての神なしには存在することも考えられることもできないからである(定理一五 すべて在るものは神のうちに在る、そして神なしには何物も在りえずまた考えられえない。および定理二四の系 神は物が存在し始める原因であるばかりでなく、物が存在することに固執する原因でもあること)により。第二に神を個物の遠隔原因と名づけるのは、神が直接的に産出したもの・あるいはむしろ神の絶対的本性から生起するものと普通の個物とを区別するためになら別だが、本来的意味においては適当でないということになる。なぜなら、遠隔原因とは結果と何の関連もないものと我々は解するが、およそ存在する一切の物は神のうちに在り、かつ神なしには存在することも考えられることもできないように神に依存しているからである。 此の思考の成因には当時の、数学的・物理学的科学を世界的な基礎として受け入れていたことが伺えます。彼の真意は「神」を疑問の余地なく信仰の対象から、事実上の世界に顕せることにあったのです。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月03日 06時07分51秒
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