カテゴリ:絶対存在論
神の存否-267
スピノザは、第一種認識(観察または伝聞による認識)、第二種認識(推論に基づく論理的認識)と更に区別して、第三種認識というものを設定しています。第三種の認識は、神の属性についての十全な観念から、事物の本質についての十全な知へと進む」ものを指し示します。 第三種認識の特徴は、次のようなものとして要約できます。 1)直観的なものであり、論証的なものではない。 2)神の認識そのものを基礎とする認識。 3)受動的感情を除去せず、それを位置付けうまく利用することによって能動的な活力へと転化する感情の療法。「すなわちこの認識(第三種認識)は、受動的である限りにおいての諸感情を絶対的には除去しないまでも、少なくともそれらの感情が精神の極小部分を構成するようにさせ得る。これら若干の定理の中に感情に対するすべての療法が総括されている。」 4)永遠性や至福につながる。 定理四一 第一種の認識は虚偽〔誤謬〕の唯一の原因である。これに反して第二種および第三種の認識は必然的に真である。 証明 我々は前の第二部の定理四〇の備考において、第一種の認識には非妥当で混乱したすべての観念が属すると言った。したがって(この部第二部の定理三五 虚偽〔誤謬〕とは非妥当なあるいは毀損し・混乱した観念が含む認識の欠乏に存する。により)この認識は虚偽の唯一の原因である。次に我々は、第二種および第三種の認識には妥当な諸観念が属すると言った。したがって(この部第二部の定理三四 我々の中において絶対的なあるいは妥当で完全な観念はすべて真である。により)これらの認識は必然的に真である。Q・E・D・=これが証明すべきことであった。 スピノザは第三種の認識に直観知(scientia intuitiva)を当てていますが、本来此れは、神の認識を意味するとしていますので、それ故、此処では人間精神にとっての直観知が部分としても神の思考に一致すると捉えます。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月22日 06時10分04秒
コメント(0) | コメントを書く
[絶対存在論] カテゴリの最新記事
|
|